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武訓 / 下・第31段

かゝるには、さきにすゝむを勇とし、引くには、あとにおくるゝを勇とす。されども、進むに先にあるは、猶もやすし。退くにあとにあるは、甚かたし。

書き下し

かゝるには、さきにすゝむを勇とし、引くには、あとにおくるゝを勇とす。されども、進むに先にあるは、猶もやすし。退くにあとにあるは、甚かたし。

現代語訳

攻めかかるときは、先に進むのを勇とし、引くときは、後に遅れるのを勇とする。けれども、進むのに先にいるのはまだやさしい。退くのに後にいるのは、はなはだ難しい。

解説

進むときは先頭に、退くときは最後尾に立つのが勇だという、短い段です。益軒は、先に進むのはまだやさしいが、退くときに後に残るのはきわめて難しいと付け加えます。ここでの「後」は、味方を逃がすために敵に近い位置に残ることを指すと読めますが、本文だけでは詳細までは分かりません。華々しい前進よりも、撤退や後始末に責任を持つ役のほうが難しいという指摘は、現代の仕事にも通じます。プロジェクトの終結や事業の撤収、不祥事の後処理を引き受ける人こそ、目立たないところで本当の勇気を示しています。

この章句が説くこと

勇殿撤退責任後始末武訓

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