武訓 / 下・第19段
將たる人、號令明らかにしてあやまらず、賞罰信ありてちがはず、士卒と苦樂を同じくし、われひとり樂しまず、寒暑をも士卒と同じくし、士卒をいたはりてくるしめず。かくの如くすれば、士卒上におもひつきて、死力をつくす。
新字:将たる人、号令明らかにしてあやまらず、賞罰信ありてちがはず、士卒と苦楽を同じくし、われひとり楽しまず、寒暑をも士卒と同じくし、士卒をいたはりてくるしめず。かくの如くすれば、士卒上におもひつきて、死力をつくす。
書き下し
將たる人、號令明らかにしてあやまらず、賞罰信ありてちがはず、士卒と苦樂を同じくし、われひとり樂しまず、寒暑をも士卒と同じくし、士卒をいたはりてくるしめず。かくの如くすれば、士卒上におもひつきて、死力をつくす。
現代語訳
将たる人は、号令を明らかにして誤らず、賞罰は信があって違えず、士卒と苦楽を同じくし、自分ひとりだけ楽しまず、寒さ暑さも士卒と同じにし、士卒をいたわって苦しめない。このようにすれば、士卒は上に心を寄せ、死力を尽くす。
解説
将が士卒の心を得る条件を並べた短い段です。命令を明確にして誤らないこと、賞罰を信じられるものにして違えないこと、苦楽や寒暑を士卒と同じくすること、いたわって苦しめないことが挙がり、その結果として士卒が死力を尽くすと結ばれます。「号令」は軍の合図や命令、「賞罰」は手柄への褒美と過ちへの罰のことです。指示があいまいで、評価がその日の気分で変わり、上だけが楽をする職場では、部下は力を出し切れません。管理職にとっては、まず自分の指示と評価の一貫性を点検する材料になります。
この章句が説くこと
号令賞罰苦楽信士卒武訓
関連する章句
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『五常訓』巻之五・信一賞罰は、必信にすと云ふは、功ある人をば、必恩賞をあたへ、罪ある者をば、必刑罰に行はんと、兼ねて人に示すは法なり。賞罰は人君の権なり。是なければ、善すすまず、悪こりず。君の権威を失へるなり。功あれども賞せず、罪あれども罰せざれば、是民に信なきなり。如此なれば、法やぶれて、民信ぜず。善をするに怠りてつとめず、悪をする事をおそれずして、罰ををかす者多し。かく法たたざれば、国あやふし。又尚書に、令出ては、これ行はしめ、背かしめざれといへり。いふ意は、法を出さば、初よく思案し、僉議して、後までやぶれなき法を立つべし。一たび下知を出して、法をたてば、後まで其法を行はしめて、背かしむる事なかれ。そむく者は必つみに行ふべし。如此なれば、いつまでも、法立ちてやぶれず。一たび下知を出して、後まで変ぜざるは、是信なり。もし後まで立ちがたき法ならば、初によく議論して、法を立つべからず。是始を慎むなり。若下知して後変ぜば、是上に信なくして、民信ぜず。君に権なくして、法たたず。
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『韓非子』初見秦第一賞を言ひて則ち与へず、罰を言ひて則ち行はず、賞罰信ならず、故に士民死せざるなり。
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尉繚子・攻權戦ひて必ず勝たざれば、以て戦ひを言ふべからず。攻めて必ず抜かざれば、以て攻むるを言ふべからず。然らざれば、刑賞信ずるに足らざるなり。信は期の前に在り、事は未兆に在り、故に衆已に聚まれば虚しく散ぜず、兵已に出づれば徒らに帰らず。
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