武訓 / 下・第12段
勇者は、外をあらくせず。荀子が、能く定まつて後能く應ずといへるが如くなるべし。いふ意は、敵にむかひては、心をしづかに定めて、うごかさずして、よく敵にかつ。外に氣をうごかして、かる〳〵しくさわがしきは、內に敵に應ずべき根なし。人にかちがたし。
新字:勇者は、外をあらくせず。荀子が、能く定まつて後能く応ずといへるが如くなるべし。いふ意は、敵にむかひては、心をしづかに定めて、うごかさずして、よく敵にかつ。外に気をうごかして、かる〳〵しくさわがしきは、内に敵に応ずべき根なし。人にかちがたし。
書き下し
勇者は、外をあらくせず。荀子が、能く定まつて後能く應ずといへるが如くなるべし。いふ意は、敵にむかひては、心をしづかに定めて、うごかさずして、よく敵にかつ。外に氣をうごかして、かる〳〵しくさわがしきは、內に敵に應ずべき根なし。人にかちがたし。
現代語訳
勇者は、外に荒々しさを見せません。荀子が「よく定まって後によく応ずる」と言ったとおりです。その意味は、敵に向かっては、心を静かに定めて動かさず、よく敵に勝つということです。外に気を動かして、軽々しく騒がしいのは、内に敵に応じるべき根がありません。人に勝ちがたいのです。
解説
勇者は外に荒々しさを見せない、という短い段です。荀子の「能く定まって後能く応ず」を引き、敵に向かう時は心を静かに定めて動かさないことが勝つ条件だとします。外に気を動かして軽々しく騒がしいのは、内に応じる根がない証拠だというのが益軒の見立てです。声の大きさや派手な振る舞いが、そのまま強さを意味しないという指摘ともいえます。職場でも、ざわついた場面でこそ静かに状況を見て、まず自分の心を定めてから対応する人が、結果的に信頼を集めます。落ち着きは、準備と内面の充実から生まれます。
この章句が説くこと
勇者定まる静荀子落ち着き武訓
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