呻吟語 / 内篇・談道・三氏傳心の要法は靜の一字
三氏傳心要法,總之不離一「靜」字。下手處皆是制欲,歸宿處都是無欲,是則同。
新字:三氏伝心要法,総之不離一「静」字。下手処皆是制欲,帰宿処都是無欲,是則同。
書き下し
三氏傳心の要法は、之を總ぶるに「靜」の一字を離れず。下手の處は皆な是れ欲を制し、歸宿の處は都て是れ無欲なり。是れ則ち同じ。
現代語訳
儒と仏と道の三家が心を伝える肝は、まとめてしまえば静の一字から離れません。手のつけどころはどれも欲を抑えることであり、行き着く先はどれも欲が無くなることです。そこは同じなのです。
解説
三つの教えの違いばかりが語られる中で、呂坤は入口と出口が同じだと言います。入口は欲を制すること、出口は欲が消えていること。そのあいだを静という一字が貫いています。前の段で儒だけが一を使うと書いた人が、ここでは三家の共通点を素直に認めている点に注目したいところです。違いを言うためには、まず同じところを正確に見ておく必要があるという構えです。
この章句が説くこと
静欲無欲三教共通
関連する章句
-
『呻吟語』内篇・存心・靜は萬理の橐籥、萬化の樞紐なり天地萬物の理は、靜より出でて、靜に入る。人心の理は、靜より發して、靜に歸す。靜は、萬理の橐籥、萬化の樞紐なり。動中に發し出で來たるは、天則と便ち相似ず。故に暴肆の人と雖も、平旦皆良心有るは、靜に發すればなり。過ぎて後皆悔心有るは、靜に歸すればなり。
-
『呻吟語』内篇・存心・靜裡に物欲を看るは、業鏡の妖を照らすがごとし靜裡に物欲を看るは、業鏡の妖を照らすがごとし。
-
『呻吟語』内篇・存心・天地間の真滋味は、惟だ靜者のみ嘗め得出だす天地間の真滋味は、惟だ靜者のみ能く嘗め得出だす。天地間の真機括は、惟だ靜者のみ能く看得透す。天地間の真情景は、惟だ靜者のみ能く題得破る。熱鬧の人と作り、孟浪の語を說くも、豈に一得無からんや。皆偶合なるのみ。
-
李衛公問対・卷中誘うを以て来るを待ち、静を以て躁を待ち、重きを以て軽きを待ち、厳を以て懈を待ち、治を以て乱を待ち、守を以て攻を待つ。
-
『呻吟語』内篇・存心・門は盡日開闔すれども、樞は常に靜なり靜の一字、十二時離れ了らず。一刻才かに離るれば、便ち亂る。門は盡日開闔すれども、樞は常に靜なり。妍媸は盡日往來すれども、鏡は常に靜なり。人は盡日應酬すれども、心は常に靜なり。惟だ靜なるが故に、能く動を張主し得。若し動を逐ひて去らば、事に應ずるに定めて分曉ならず。便ち是れ睡る時も、此の念靜ならざれば、個の夢兒を作すも亦た胡亂なり。
-
『呻吟語』内篇・存心・靜者は生門、躁者は死戶靜者は生門、躁者は死戶なり。