武家小学 / 早く寝て家人を休ませる
一家事の用向示し終ば。寐所に入て氣を休。躰を寛にして明日の業に備べし。益なき事に夜を更し心躰を勞すべからず。且召仕の家人等は主人より後て寐。又主人に先立て起るゆへ其休息する所暫時也。この處を考て我は欲せずとも。夜は早寐て家人等を安からしむべし。
新字:一家事の用向示し終ば。寐所に入て気を休。体を寛にして明日の業に備べし。益なき事に夜を更し心体を労すべからず。且召仕の家人等は主人より後て寐。又主人に先立て起るゆへ其休息する所暫時也。この処を考て我は欲せずとも。夜は早寐て家人等を安からしむべし。
書き下し
一家事の用向示し終ば。寐所に入て氣を休。躰を寛にして明日の業に備べし。益なき事に夜を更し心躰を勞すべからず。且召仕の家人等は主人より後て寐。又主人に先立て起るゆへ其休息する所暫時也。この處を考て我は欲せずとも。夜は早寐て家人等を安からしむべし。
現代語訳
家の用事の指図を終えたら、寝所に入って気を休め、体をくつろげて、明日の務めに備えなさい。無益なことで夜更かしをし、心身を疲れさせてはなりません。それに、召し使いの家人たちは主人より後に寝て、また主人より先に起きるので、その休息できる時間はわずかです。このことを考えて、自分は望まなくとも、夜は早く寝て、家人たちを安らがせなさい。
解説
一日の用事を片づけたら早く休み、翌日の務めに備えること、無益な夜更かしで心身を消耗しないことが説かれます。注目すべきは、使用人は主人より遅く寝て早く起きるため休む時間が少なく、そのことを思って主人が先に床に就くよう勧めている点です。下の者への思いやりを、休息という具体的な行動で示す教えです。現代の管理職にも、自分の遅い帰宅や夜間の連絡が、部下の休息を奪っていないかを省みる視点になります。上が早く切り上げることが、組織全体の健康と翌日の生産性を守るのです。
この章句が説くこと
休息思いやり家人夜更かし配慮働き方
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