武家家訓集 / 黒田如水教諭神の罰より主君の罰、主君の罰より臣下の罰
一神の罰より主君の罰おそるべし、主君の罰より臣下百姓の罰恐るべし、其故は神の罰は祈もまぬかるべし、主君の罰は諂言して謝すべし、只臣下百姓にうとまれては必國家を失ふ故祈も諂言しても其罰はまぬかれがたし、故に神の罰主君の罰よりも臣下萬民の罰は尤おそるべし、
新字:一神の罰より主君の罰おそるべし、主君の罰より臣下百姓の罰恐るべし、其故は神の罰は祈もまぬかるべし、主君の罰は諂言して謝すべし、只臣下百姓にうとまれては必国家を失ふ故祈も諂言しても其罰はまぬかれがたし、故に神の罰主君の罰よりも臣下万民の罰は尤おそるべし、
書き下し
一神の罰より主君の罰おそるべし、主君の罰より臣下百姓の罰恐るべし、其故は神の罰は祈もまぬかるべし、主君の罰は諂言して謝すべし、只臣下百姓にうとまれては必國家を失ふ故祈も諂言しても其罰はまぬかれがたし、故に神の罰主君の罰よりも臣下萬民の罰は尤おそるべし、
現代語訳
神の罰よりも主君の罰を恐れなければなりません。主君の罰よりも、家臣や百姓の罰を恐れなければなりません。その理由は、神の罰は祈れば免れることができ、主君の罰はへつらいの言葉でわびれば免れることができますが、家臣や百姓に疎まれてしまうと、必ず国家を失うからです。そうなれば祈っても、へつらってわびても、その罰は免れがたいのです。だから神の罰や主君の罰よりも、家臣と万民の罰を最も恐れなければなりません。
解説
この段は、恐れるべき罰に順位をつけています。神、主君、家臣・百姓の順に重くなるという主張です。理由として、前の二つは祈りや詫びで免れ得るが、人心が離れることは取り返しがつかず、国家そのものを失うからだと本文は述べます。上位の者の機嫌を気にするより、下から見放されることを恐れよという逆転が要点です。現代の経営者や管理職にとっても、上司や株主の評価以上に、部下や顧客、現場の信頼を失うことが組織の存続を左右します。信頼は謝罪では戻らないという認識が出発点になります。
この章句が説くこと
信頼人心家臣万民謝罪リーダーの責任武家家訓集
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