武家家訓集 / 武田信繁家訓九十九箇条結びと奥書
以上九十九ヶ條、多言漫喧他人之耳、寧無不往生之書、二五十(八)豈二五七(八)亦、此六之字信玄家秘書口傳有、 永祿元年戊午卯月吉日 武田左馬助 信繁在判 長老江
新字:以上九十九ヶ条、多言漫喧他人之耳、寧無不往生之書、二五十(八)豈二五七(八)亦、此六之字信玄家秘書口伝有、 永禄元年戊午卯月吉日 武田左馬助 信繁在判 長老江
書き下し
以上九十九ヶ条、多言漫りに他人の耳を喧しくす、寧ろ不往生の書無からんや、二五十(八)豈に二五七(八)ならんや、亦此の六の字、信玄家の秘書に口伝有り。 永禄元年戊午卯月吉日 武田左馬助 信繁在判 長老へ
現代語訳
以上、九十九か条です。言葉数が多く、やたらに他人の耳を騒がせるかもしれません。むしろ、往生できない書(役に立たない書)ではないでしょうか。「二五十(八)」は「二五七(八)」ではなく…(この数字の部分は意味が取れません)。またこの「六」の字については、信玄家の秘書に口伝があります。永禄元年(1558)戊午、卯月(四月)の吉日。武田左馬助信繁(花押のかわりに「在判」と記す)。長老へ。
解説
九十九か条を締める結びと奥書です。多言で他人の耳を騒がせるかもしれないが、役に立たない書ではないはずだ、と控えめに書かれます。続く「二五十(八)」「六の字」の箇所は数字の意味が取りにくく、信玄家の秘書に口伝があるとされます。ここでは訳を保留します。日付は永禄元年(1558)の卯月、署名は武田左馬助信繁で、宛名は「長老」です。家訓は長い箇条を並べた末に、書き手が自らの言葉の多さを断る形で閉じられます。現代の組織でも、方針や教えを文書化するとき、全てを伝えきれない限界を踏まえ、口伝や対話で補う設計が必要です。
この章句が説くこと
奥書口伝文書化後継者への伝達武家家訓集
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