武家家訓集 / 武田信繁家訓九十九箇条第22〜24条
一障人者、不可許容、但以隱密聞屆、阮昧尤之事、語云、擧直錯諸枉則民服、 一異見之儀不可違背事、古語云、良藥苦口、利於病、忠言逆耳、利於行、又尙書曰、木從繩則正、君從諫則聖也、 一家來之者共、非無覺悟、就于不便、無據者、一往者可加合力事、語曰、不如一年之計種五穀、不如十年之計種木、不如一期之計立人、
新字:一障人者、不可許容、但以隠密聞届、阮昧尤之事、語云、挙直錯諸枉則民服、 一異見之儀不可違背事、古語云、良薬苦口、利於病、忠言逆耳、利於行、又尚書曰、木従縄則正、君従諫則聖也、 一家来之者共、非無覚悟、就于不便、無拠者、一往者可加合力事、語曰、不如一年之計種五穀、不如十年之計種木、不如一期之計立人、
書き下し
一、障人は許容すべからず。但し隱密を以て聞き屆け、阮昧尤の事。語に云ふ、直きを擧げて諸を枉れるに錯けば則ち民服す、と。 一、異見の儀違背すべからざる事。古語に云ふ、良藥は口に苦けれども病に利あり、忠言は耳に逆らへども行に利あり、と。又尙書に曰く、木は繩に從へば則ち正し、君は諫に從へば則ち聖なり、と。 一、家來の者共、覺悟無きに非ず、不便に就きて、據無き者は、一往は合力を加ふべき事。語に曰く、一年の計は五穀を種うるに如かず、十年の計は木を種うるに如かず、一期の計は人を立つるに如かず、と。
現代語訳
一、人の邪魔をする者は許してはなりません。ただし内密に聞き届け、「阮昧尤」の事(意味が取りにくい語です)。「正しい者を挙げて曲がった者の上に置けば、民は心服する」といいます。一、異見(忠告)には背いてはなりません。古語に「良薬は口に苦いが病に効き、忠言は耳に逆らうが行いに利益がある」とあります。また『尚書』に「木は墨縄に従えば真っ直ぐになり、君は諫めに従えば聖となる」とあります。一、家来たちが覚悟がないわけではなく、気の毒でやむを得ない事情がある者には、一度は援助を加えるべきです。「一年の計は穀物を植えることにまさるものはなく、十年の計は木を植えることにまさるものはなく、一生の計は人を育てることにまさるものはない」といいます。
解説
この章句が説くこと
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『晏子春秋』雑下・景公祿晏子平陰與槁邑晏子願行三言以辭景公晏子に禄するに平陰と槁邑とを以てし、市に反る者十一社なり。晏子辞して曰く、「吾が君宮室を治むるを好み、民の力弊れたり。又盤遊玩好を好みて以て女子を飭り、民の財竭きたり。又師を興すを好み、民の死近し。其の力を弊らし、其の財を竭くし、其の死を近づく。下の其の上を疾むこと甚だし。此れ嬰の敢えて受けざる所以なり」と。公曰く、「是れ則ち可なり。然りと雖も、君子独り富と貴とを欲せざらんや」と。晏子曰く、「嬰聞く、人臣為る者は、君を先にして身を後にし、国を安んじて家を度り、君を宗として身を処くと。曷為れぞ独り富と貴とを欲せざらん」と。公曰く、「然らば則ち曷を以て夫子に禄せん」と。晏子対えて曰く、「君、漁塩を商し、関市は譏して征せず、耕す者は十に一を取り、刑罰を弛め、死に若たる者は刑し、刑に若たる者は罰し、罰に若たる者は免ぜよ。此の三言の若きは、嬰の禄にして、君の利なり」と。公曰く、「此の三言は、寡人事とする無し。請う、以て夫子に従わん」と。公既に若の三言を行い、人をして大国に問わしむ。大国の君曰く、「斉安し」と。人をして小国に問わしむ。小国の君曰く、「斉我に加えず」と。
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