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武家家訓集 / 武田信繁家訓九十九箇条第7〜9条

一對兄弟、聊不可疎略事、後漢書曰、兄弟左右之手也、 一不相當身體儀、一言不可出語事、應杭云、人出一言知其長短、對諸人、少不可緩怠事、付於僧童女貧者、彌隨人可懇懇事、禮記云、人有禮則安、無禮則危、 一弓馬之嗜肝要事、論語曰、攻乎異端、斯害而已、

新字:一対兄弟、聊不可疎略事、後漢書曰、兄弟左右之手也、 一不相当身体儀、一言不可出語事、応杭云、人出一言知其長短、対諸人、少不可緩怠事、付於僧童女貧者、弥随人可懇懇事、礼記云、人有礼則安、無礼則危、 一弓馬之嗜肝要事、論語曰、攻乎異端、斯害而已、

書き下し

一、兄弟に對し、聊かも疎略なるべからざる事。後漢書に曰く、兄弟は左右の手なり、と。 一、不相當の身體の儀、一言も語り出すべからざる事。應杭に云ふ、人一言を出せば其の長短を知る、と。諸人に對し、少しも緩怠すべからざる事。僧・童・女・貧者に付けては、彌々人に隨ひて懇懇なるべき事。禮記に云ふ、人禮有れば則ち安く、禮無ければ則ち危うし、と。 一、弓馬の嗜み肝要の事。論語に曰く、異端を攻むるは、斯れ害のみ、と。

現代語訳

一、兄弟に対して、少しも疎かにしてはなりません。『後漢書』に「兄弟は左右の手である」とあります。一、身の程に合わない事柄を、一言も口に出してはなりません。応杭に「人は一言を発すれば、その長所も短所も知れる」とあります。多くの人に対して、少しも怠り緩んではなりません。僧・子ども・女性・貧しい者に対しては、いっそう人に応じて丁寧にすることです。『礼記』に「人に礼があれば安らかで、礼がなければ危うい」とあります。一、弓馬の嗜みは肝要です。『論語』に「異端を攻めるのは、害になるだけだ」とあります。

解説

兄弟との関係、言葉の慎み、人への礼、弓馬の嗜みを述べます。兄弟を左右の手にたとえる句は、身内の助け合いを言うものです。一言で人の長短が知れるという句は、分不相応な言を戒めます。礼の条では、僧や子ども、女性、貧しい者に対して、いっそう丁寧にと念押ししています。弓馬の条に論語の句が添えられている意味は、本文からは取りにくいところです。現代では、社内の兄弟のような同僚との協力、発言の重み、立場の弱い相手への丁寧さが、組織の安定につながると読めます。

この章句が説くこと

兄弟言葉の慎み礼謙虚弓馬武家家訓集

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