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武家家訓集 / 朝倉敏景十七箇条追書条々を守れ

この條々大かたにおもはれては益なく候、入道一箇牢身にて、不思儀に國をとりしより以來、晝夜目をつながず工夫致し、ある時は諸人の名人をあつめ、そのかたるをみゝにはさみ、今にかくのごとくに候、あいかまへて、子孫におゐて此條々書をまもられ、摩利支天八幡の御敎と彼思候はゞ、かろくも朝倉の名字相つゞくべく候、末々におゐて我ままにふるまはれ候はゞ、たしかに後悔可有之者也、 今川了俊歌 子をおもふ親の心のまことあらはいさむる道にまよはさらめや

新字:この条々大かたにおもはれては益なく候、入道一箇牢身にて、不思儀に国をとりしより以来、昼夜目をつながず工夫致し、ある時は諸人の名人をあつめ、そのかたるをみゝにはさみ、今にかくのごとくに候、あいかまへて、子孫におゐて此条々書をまもられ、摩利支天八幡の御教と彼思候はゞ、かろくも朝倉の名字相つゞくべく候、末々におゐて我ままにふるまはれ候はゞ、たしかに後悔可有之者也、 今川了俊歌 子をおもふ親の心のまことあらはいさむる道にまよはさらめや

書き下し

この条々、大方に思はれては益なく候。入道、一箇牢身にて、不思議に国を取りしより以来、昼夜目を繋がず工夫致し、ある時は諸人の名人を集め、その語るを耳に挟み、今にかくの如くに候。あひかまへて、子孫においてこの条々書を守られ、摩利支天・八幡の御教へと思はれ候はば、軽くも朝倉の名字相続くべく候。末々において我儘に振舞はれ候はば、確かに後悔これ有るべき者也。今川了俊の歌、「子を思ふ親の心のまことあらば諫むる道に迷はざらめや」

現代語訳

この条々を、おおよそのものと思って軽く見られては無益です。この入道は一人の浪々の身から、思いがけず国を手に入れて以来、昼夜まぶたを合わせることなく工夫を重ね、あるときは多くの名人を集めてその語るところを耳に留め、今日のようになりました。くれぐれも子孫は、この条々書を守り、摩利支天や八幡の教えと思ってください。そうすれば朝倉の名字は軽んじられることなく続くでしょう。末々に至ってわがままに振る舞われるなら、きっと後悔することになります。今川了俊の歌「子を思う親の心が真実であるなら、諫める道に迷うことはないだろうに」。

解説

条々の結びで、書き手が子孫に守ることを強く求める段です。自分は浪々の身から国を得て以来、昼夜工夫し、名人たちの話を聞いて今日に至ったと述べ、この条々を摩利支天・八幡の教えと思って守れば名字は続き、わがままに振る舞えば後悔すると言います。今川了俊の歌は、子を思う親の誠があれば諫める道に迷わない、という趣旨です。成立や制定者には疑う説もありますが、本文はそう語ります。経営者が理念や社訓を残すとき、経験の重みと後継者への愛情を併せて伝えることの大切さが読み取れます。

この章句が説くこと

家訓後継者創業者諫言名字武家家訓集

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