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武学啓蒙 / 附・士家心得・備えを怠るな:雨が降ってから傘を求める愚

一人數つもり、町見見切の習ひ、幷に、小屋つもり、諸材木、雨具、防火具等のこと、一地理、地圖につき、土圖分寸の習ひ、高下かんべんし、幷に諸具のこと、一勝場禮、首途、勝鬨、雄詰、噴讓、凱陣等に、つき、諸作法のこと、一城壘、及び諸備の名目、幷に、勝場古法例、心得のこと、右論ずる所、父師に得たるあり、また臆見あり、今子弟のために、其要を擧ぐ、千分の一に、たらず、續て、思ひ出すを待て、再論せん、夫雨ふりて、傘あつらへんとし、渴して、井をほらんとし、盜とらへて、繩なわんとするは、恥しらぬ、うつけものなりと、貴き訓あり、何さま、此義を、よく、のみこまば、富强、皆いたすべし、大凡、此によりて、啓發し、志を煉ること、專一ならば、智慮日々に大にして、武士道の成就、疑なし、諺に、上工は、好からと、好ときは、寐ても、忘れず、於是に、物の類し聚る、神の手傳ほどなることあり、善惡、皆しからざることなし、世に、公務暇なしなど、云ながらも、逸樂を事とし、今は、人なしと、材能を、なひがしろにし、我より、求め、なすの志なきは、彼、うつけの類と、いましむべし、右跋文、一章、條々、詳說の後に、あり、今目次を、あぐる、つひでに、其ふるき、かたちを、存せりと云、男之靖又識

新字:一人数つもり、町見見切の習ひ、幷に、小屋つもり、諸材木、雨具、防火具等のこと、一地理、地図につき、土図分寸の習ひ、高下かんべんし、幷に諸具のこと、一勝場礼、首途、勝鬨、雄詰、噴譲、凱陣等に、つき、諸作法のこと、一城塁、及び諸備の名目、幷に、勝場古法例、心得のこと、右論ずる所、父師に得たるあり、また臆見あり、今子弟のために、其要を挙ぐ、千分の一に、たらず、続て、思ひ出すを待て、再論せん、夫雨ふりて、傘あつらへんとし、渇して、井をほらんとし、盗とらへて、縄なわんとするは、恥しらぬ、うつけものなりと、貴き訓あり、何さま、此義を、よく、のみこまば、富強、皆いたすべし、大凡、此によりて、啓発し、志を煉ること、専一ならば、智慮日々に大にして、武士道の成就、疑なし、諺に、上工は、好からと、好ときは、寐ても、忘れず、於是に、物の類し聚る、神の手伝ほどなることあり、善悪、皆しからざることなし、世に、公務暇なしなど、云ながらも、逸楽を事とし、今は、人なしと、材能を、なひがしろにし、我より、求め、なすの志なきは、彼、うつけの類と、いましむべし、右跋文、一章、条々、詳説の後に、あり、今目次を、あぐる、つひでに、其ふるき、かたちを、存せりと云、男之靖又識

書き下し

一人數つもり、町見見切の習ひ、幷に、小屋つもり、諸材木、雨具、防火具等のこと、一地理、地圖につき、土圖分寸の習ひ、高下かんべんし、幷に諸具のこと、一勝場禮、首途、勝鬨、雄詰、噴讓、凱陣等に、つき、諸作法のこと、一城壘、及び諸備の名目、幷に、勝場古法例、心得のこと、右論ずる所、父師に得たるあり、また臆見あり、今子弟のために、其要を擧ぐ、千分の一に、たらず、續て、思ひ出すを待て、再論せん、夫雨ふりて、傘あつらへんとし、渴して、井をほらんとし、盜とらへて、繩なわんとするは、恥しらぬ、うつけものなりと、貴き訓あり、何さま、此義を、よく、のみこまば、富强、皆いたすべし、大凡、此によりて、啓發し、志を煉ること、專一ならば、智慮日々に大にして、武士道の成就、疑なし、諺に、上工は、好からと、好ときは、寐ても、忘れず、於是に、物の類し聚る、神の手傳ほどなることあり、善惡、皆しからざることなし、世に、公務暇なしなど、云ながらも、逸樂を事とし、今は、人なしと、材能を、なひがしろにし、我より、求め、なすの志なきは、彼、うつけの類と、いましむべし、右跋文、一章、條々、詳說の後に、あり、今目次を、あぐる、つひでに、其ふるき、かたちを、存せりと云、男之靖又識

現代語訳

一、人数の見積もり、町見(測量)・見切りの習い、ならびに小屋の見積もり、諸材木、雨具、防火具などのこと。一、地理・地図について、土図の分寸の習い、高低を簡便にし、ならびに諸道具のこと。一、勝場の礼、門出、勝鬨、雄詰、噴讓、凱陣などについて、諸作法のこと。一、城塁、および諸備えの名目、ならびに勝場の古法の例、心得のこと。右に論ずるところは、父や師から得たものもあり、また私の臆見もあります。今、子弟のためにその要を挙げましたが、千分の一にも足りません。続いて思い出すのを待って、再び論じます。そもそも、雨が降ってから傘をあつらえようとし、渇いてから井戸を掘ろうとし、盗人を捕らえてから縄をなおうとするのは、恥知らずの愚か者だという貴い訓があります。いずれにしても、この義をよくのみこめば、富強はみな成るでしょう。おおよそこれによって啓発し、志を錬ることが専一であれば、智慮は日々に大きくなり、武士道の成就は疑いありません。諺に、上手(上工)は好きだから(上達する)といい、好きなときは寝ても忘れない、とあり、そこで物の類が集まり、神の手伝いほどのことがあります。善悪みなそうでないことはありません。世に、公務が忙しいなどと言いながらも、逸楽をことにし、今は人がいないと材能を軽んじ、自分から求め行う志のないのは、あの愚か者の類だと戒めるべきです。右の跋文一章は、条々の詳説の後にあります。今、目次を挙げるついでに、その古い形を残しているということです。男の之靖が、また記す。

解説

目次の最後に、人数や小屋の見積もり、地理・地図、戦場の礼法、城塁の名目などが挙げられます。結びで、雨が降ってから傘を、渇いてから井戸を、盗人を捕らえてから縄をなうのは恥知らずの愚か者だという訓を引き、備えの大切さを説きます。管理職にとっては、問題が起きてから慌てて準備するのではなく、平時に資源や手順を見積もり整えておくことの勧めです。公務が忙しいと言いながら学びを怠る姿勢を戒める点も、現代の多忙な職場に響きます。
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人生を、一行の式にしてみた。

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この章句が説くこと

『武学啓蒙』力丸東山備え士家心得雨傘と井戸志を錬る

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