導師導古典を学びたいすべての人に

家道訓 / 巻之一・総論上

一凡、家内の平日の用心は、かねてより早くすべし。第一に、來年の秋までの糧米をそなへ、次に鹽醬をたくはへ、脯醢をつくり、薪炭油をかねてよりあつむべし。右の貯なければ、家の計たゝず。奴婢をあはれみ、其衣食居處を察して飢寒せしめず、其所を得せしむべし。男女内外の別を正しくし、武士は、鎗長刀弓矢鐵炮杖棒等を、常に便よき所におくべし。常に用ふる器をとゝのへ備へ、器のそこなへるをば修補し、屋宅藏庫牆壁の破損せるをはやく修理し、材木竹茅土石を求め貯へ、馬をよく飼ひ、其外、家に飼ふべき畜類をやしなひ、菜蔬草木、時に順つてうゑやしなふべし。藏のあけたて出し入れを察し、盜賊と火災との用心、つねにきびしくしておこたるべからず。火をふせぐ器なども平日備ふべし。凡家内のこと、つねに心を用ひておこたるべからず。

新字:一凡、家内の平日の用心は、かねてより早くすべし。第一に、来年の秋までの糧米をそなへ、次に塩醬をたくはへ、脯醢をつくり、薪炭油をかねてよりあつむべし。右の貯なければ、家の計たゝず。奴婢をあはれみ、其衣食居処を察して飢寒せしめず、其所を得せしむべし。男女内外の別を正しくし、武士は、鎗長刀弓矢鉄炮杖棒等を、常に便よき所におくべし。常に用ふる器をとゝのへ備へ、器のそこなへるをば修補し、屋宅蔵庫牆壁の破損せるをはやく修理し、材木竹茅土石を求め貯へ、馬をよく飼ひ、其外、家に飼ふべき畜類をやしなひ、菜蔬草木、時に順つてうゑやしなふべし。蔵のあけたて出し入れを察し、盗賊と火災との用心、つねにきびしくしておこたるべからず。火をふせぐ器なども平日備ふべし。凡家内のこと、つねに心を用ひておこたるべからず。

書き下し

一凡、家内の平日の用心は、かねてより早くすべし。第一に、来年の秋までの糧米をそなへ、次に塩醬をたくはへ、脯醢をつくり、薪炭油をかねてよりあつむべし。右の貯なければ、家の計たたず。奴婢をあはれみ、其衣食居処を察して飢寒せしめず、其所を得せしむべし。男女内外の別を正しくし、武士は、鎗長刀弓矢鉄炮杖棒等を、常に便よき所におくべし。常に用ふる器をととのへ備へ、器のそこなへるをば修補し、屋宅蔵庫牆壁の破損せるをはやく修理し、材木竹茅土石を求め貯へ、馬をよく飼ひ、其外、家に飼ふべき畜類をやしなひ、菜蔬草木、時に順つてうゑやしなふべし。蔵のあけたて出し入れを察し、盗賊と火災との用心、つねにきびしくしておこたるべからず。火をふせぐ器なども平日備ふべし。凡家内のこと、つねに心を用ひておこたるべからず。

現代語訳

およそ家の中の日頃の用心は、前もって早くしておくべきです。第一に、来年の秋までの米を備え、次に塩や味噌をたくわえ、干し肉や塩辛を作り、薪・炭・油を前もって集めておくべきです。これらのたくわえがなければ、家の計画は立ちません。召使いをあわれみ、その衣食や住まいに気を配って飢えや寒さに苦しませず、その所を得させるべきです。男女・内外の別を正しくし、武士は、槍・長刀・弓矢・鉄砲・杖・棒などを、常に使いやすい所に置くべきです。常に用いる道具を整えて備え、傷んだ道具は修理し、家屋・蔵・垣や壁の破損したところは早く修理し、材木・竹・茅・土・石を求めて蓄え、馬をよく飼い、そのほか家で飼うべき家畜を養い、野菜や草木を季節に従って植え育てるべきです。蔵の開け閉てや出し入れに気を配り、盗賊と火災の用心は常に厳しくして怠ってはいけません。火を防ぐ道具なども平生から備えるべきです。およそ家の中のことは、常に心を用いて怠ってはいけません。

解説

米や塩味噌、燃料の備蓄から、家屋の修理、盗賊と火災への用心まで、家の中の備えを細かく列挙しています。来年の秋の収穫までの米を用意せよというのは、凶作に備える江戸時代の家政の基本でした。使用人の衣食住に気を配ることも家の備えの一部として挙げられています。災害への備えとして食料や日用品を備蓄し、家の傷みを早めに直し、防火の道具を用意しておくことは、今の家庭の防災とまったく同じ発想です。

この章句が説くこと

備え家防災備蓄用心

関連する章句

古典の入門書『人生の教科書』の表紙

人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。

古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。

本の中身を見る
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)+師導1か月=700円 本を見る