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武学啓蒙 / 武士の心得べき二十一箇條・二十一箇条その三・友・戸締まり・火の用心

一よき友、大かたは、學文、武藝にあり、よからざる友、大かたは、碁、將棊、尺八、笛、亂舞の類にあり、人は善惡の友に、よるなれば、善者を、ゑらびて、これに從ひ、惡者は、除き改むべし、大抵しらずしても、格別の、恥とならざることを、やめて、要用なる、しらでは、必恥となることを、ぎんみし、早く習ふべし、一手すきにて、宿にあらば、表より裏、破損の所は、修理の、心がけ あるべし、下々の者は、後の考なく、損ぜんとする、かたちあれば、はや打破り、ぬきも、たるきも、引はなち、物あぶる薪とするに、いたるあり、是も心を用べきの一事なり、其他も、なぞらへ知るべし、一ゆふべには、六ッ限に、門を、はたとさし、人の出入によりて、あけさすべし、此等のことは、いらざるやうなれども、惡事を、ふせぐ、さほふと、心得べし、一日くれては、臺所、中居の火のまわり、見めぐるべきこと、かね〱いひ付、其外、萬々一、類火などの時の用心、毎夜忘るべからず、女房の如き、高き、賤に、かぎらず、物事不用心にして、家財、衣裳を、とりちらすばかりにも、あらず、ゆだん多きにより、主人の、ほろを、みだすことあり、時々心を用ひて、ぎんみすべし、右の箇條、三歲の童子も、知れることゝ、輕視せず、謹で讀誦すべし、昔し聖人、野に謀り、蒭蕘に問玉ひしことあり、諺にいはずや、馳る馬にも鞭と、知れることも、くりかへし考る、其益すくなからず、

新字:一よき友、大かたは、学文、武芸にあり、よからざる友、大かたは、碁、将棋、尺八、笛、乱舞の類にあり、人は善悪の友に、よるなれば、善者を、ゑらびて、これに従ひ、悪者は、除き改むべし、大抵しらずしても、格別の、恥とならざることを、やめて、要用なる、しらでは、必恥となることを、ぎんみし、早く習ふべし、一手すきにて、宿にあらば、表より裏、破損の所は、修理の、心がけ あるべし、下々の者は、後の考なく、損ぜんとする、かたちあれば、はや打破り、ぬきも、たるきも、引はなち、物あぶる薪とするに、いたるあり、是も心を用べきの一事なり、其他も、なぞらへ知るべし、一ゆふべには、六ッ限に、門を、はたとさし、人の出入によりて、あけさすべし、此等のことは、いらざるやうなれども、悪事を、ふせぐ、さほふと、心得べし、一日くれては、台所、中居の火のまわり、見めぐるべきこと、かね〱いひ付、其外、万々一、類火などの時の用心、毎夜忘るべからず、女房の如き、高き、賤に、かぎらず、物事不用心にして、家財、衣裳を、とりちらすばかりにも、あらず、ゆだん多きにより、主人の、ほろを、みだすことあり、時々心を用ひて、ぎんみすべし、右の箇条、三歳の童子も、知れることゝ、軽視せず、謹で読誦すべし、昔し聖人、野に謀り、蒭蕘に問玉ひしことあり、諺にいはずや、馳る馬にも鞭と、知れることも、くりかへし考る、其益すくなからず、

書き下し

一よき友、大かたは、學文、武藝にあり、よからざる友、大かたは、碁、將棊、尺八、笛、亂舞の類にあり、人は善惡の友に、よるなれば、善者を、ゑらびて、これに從ひ、惡者は、除き改むべし、大抵しらずしても、格別の、恥とならざることを、やめて、要用なる、しらでは、必恥となることを、ぎんみし、早く習ふべし、一手すきにて、宿にあらば、表より裏、破損の所は、修理の、心がけ あるべし、下々の者は、後の考なく、損ぜんとする、かたちあれば、はや打破り、ぬきも、たるきも、引はなち、物あぶる薪とするに、いたるあり、是も心を用べきの一事なり、其他も、なぞらへ知るべし、一ゆふべには、六ッ限に、門を、はたとさし、人の出入によりて、あけさすべし、此等のことは、いらざるやうなれども、惡事を、ふせぐ、さほふと、心得べし、一日くれては、臺所、中居の火のまわり、見めぐるべきこと、かね〱いひ付、其外、萬々一、類火などの時の用心、毎夜忘るべからず、女房の如き、高き、賤に、かぎらず、物事不用心にして、家財、衣裳を、とりちらすばかりにも、あらず、ゆだん多きにより、主人の、ほろを、みだすことあり、時々心を用ひて、ぎんみすべし、右の箇條、三歲の童子も、知れることゝ、輕視せず、謹で讀誦すべし、昔し聖人、野に謀り、蒭蕘に問玉ひしことあり、諺にいはずや、馳る馬にも鞭と、知れることも、くりかへし考る、其益すくなからず、

現代語訳

一、よい友は大抵、学問・武芸にあり、よくない友は大抵、碁・将棋・尺八・笛・乱舞の類にあります。人は善悪の友によって変わるので、善い者を選んでこれに従い、悪い者は除き改めなさい。大抵、知らなくても格別の恥にならないことはやめて、必要なこと、知らなければ必ず恥になることを吟味し、早く習いなさい。一、手すきで宿にいるときは、表から裏まで、破損の所は修理する心がけがあるべきです。下々の者は後先を考えず、傷みそうな様子があれば、すぐ打ち破り、貫も垂木も引き離して、物をあぶる薪にするに至る者もいます。これも心を用いるべき一事です。その他もこれになぞらえて知りなさい。一、夕べには六つ限に門をぴたりと閉め、人の出入りに応じて開けさせなさい。これらのことは要らないようですが、悪事を防ぐ作法と心得なさい。一、日が暮れてからは、台所・中居の火の回りを見回ることを、かねてから言い付け、そのほか万一、類火(もらい火)などの時の用心を、毎夜忘れてはなりません。女房のような者は、身分の高い低いを問わず、物事に不用心で、家財・衣裳を取り散らすばかりでなく、油断が多いために、主人の幌(ほろ)を乱すこともあります。時々心を用いて吟味しなさい。右の箇条は、三歳の童子も知っていることと軽視せず、つつしんで読誦しなさい。昔、聖人は野に謀り、蒭蕘(草刈りや木こり)にも問われたことがあります。諺にも言うではありませんか、「走る馬にも鞭」と。知っていることでも繰り返し考える益は少なくありません。

解説

友を選ぶこと、家の破損を早めに直すこと、戸締まりと火の用心を毎日欠かさないことなど、日常の備えを説く部分です。特に、知っていることでも繰り返し考える益は少なくないとして、当たり前の事項を軽視しない姿勢が印象的です。管理職にとっては、安全確認やバックアップ、施錠、情報管理といった地味な基本動作を、慣れでおろそかにしないことが組織を守ります。また、学びや付き合う相手を選ぶことは、自分と部下の成長環境を整えることにもつながります。
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人生を、一行の式にしてみた。

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この章句が説くこと

『武学啓蒙』力丸東山二十一箇条友戸締まり火の用心

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