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武治提要 / 民政・第10段

貢賦と訟訴と、これ民政の大綱なり。貢賦を以て其體を正し、訟獄を以て其情を正す。爰に於て民其處を得るに至る。貢賦の數を定るの本は、民に過分の餘財あらざれども、衣食居にたり、訟訴の決斷は、民其理非を枉べからざることを自知するを極とす。其道乃其司職と監官との明暗にあり。故に民政の大本、其人を得るにあり。其人を得るときは、條目の微細はやむことなくして、其事物より生ず、强て作爲すべからず。

新字:貢賦と訟訴と、これ民政の大綱なり。貢賦を以て其体を正し、訟獄を以て其情を正す。爰に於て民其処を得るに至る。貢賦の数を定るの本は、民に過分の余財あらざれども、衣食居にたり、訟訴の決断は、民其理非を枉べからざることを自知するを極とす。其道乃其司職と監官との明暗にあり。故に民政の大本、其人を得るにあり。其人を得るときは、条目の微細はやむことなくして、其事物より生ず、強て作為すべからず。

書き下し

貢賦と訟訴と、これ民政の大綱なり。貢賦を以て其體を正し、訟獄を以て其情を正す。爰に於て民其處を得るに至る。貢賦の數を定るの本は、民に過分の餘財あらざれども、衣食居にたり、訟訴の決斷は、民其理非を枉べからざることを自知するを極とす。其道乃其司職と監官との明暗にあり。故に民政の大本、其人を得るにあり。其人を得るときは、條目の微細はやむことなくして、其事物より生ず、强て作爲すべからず。

現代語訳

年貢と訴訟は、民政の大綱です。年貢によってその体を正し、訴訟によってその情を正します。こうして民は、それぞれの居場所を得るに至ります。年貢の額を定める本は、民に余分な財産はなくとも、衣食住が足りるようにすることです。訴訟の判決は、民が理非を曲げられないことを自ら知るのを極みとします。その道は、担当の役人と監察官が明らかか暗いかにかかっています。だから民政の大本は、その人を得ることです。その人を得れば、細かい条目は、おのずと事物から生まれるので、無理に作り出すべきではありません。

解説

この段は、負担の決め方と争いの裁き方を、民政の二本柱として並べています。年貢は民に余財はなくても衣食住が足りる水準に、判決は誰もが理非を曲げられないと自ら悟る水準にと、目標を具体的に示しているのが特徴です。結論は、制度の細則より人を得ることにあります。人事評価や報酬の仕組みも、細かく作り込むより、運用する人の質で決まる面があります。細則を増やす前に、誰が運用するかを問い直す姿勢は、管理職にも通じます。

この章句が説くこと

民政貢賦訟訴人を得る公平武治提要

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