武治提要 / 擧人・第1段
擧人とは卑を擧て尊に任ずるの義なり。中るときは其益甚多く、中らざるときは其害甚多し。君臣ともに等閑の器にては適ふべからず、先蹤尤も多し。
新字:挙人とは卑を挙て尊に任ずるの義なり。中るときは其益甚多く、中らざるときは其害甚多し。君臣ともに等閑の器にては適ふべからず、先蹤尤も多し。
書き下し
擧人とは卑を擧て尊に任ずるの義なり。中るときは其益甚多く、中らざるときは其害甚多し。君臣ともに等閑の器にては適ふべからず、先蹤尤も多し。
現代語訳
挙人とは、低い位の者を挙げて、高い職に任じるという意味である。適切であればその益は非常に多く、適切でなければその害も非常に多い。君も臣も、いい加減な器量では務まらない。先例も最も多い。
解説
知人の次に置かれた、挙人の定義の段です。低い位の者を高い職に就けるという抜擢のことで、当たれば益が大きく、外れれば害も大きいと言います。そのため、任せる君主も、補佐する臣も、いい加減な器量ではいけないと戒めます。文の最後に、先例も多いと添えているのは、抜擢が特別な話ではなかったことを示すものでしょう。この段は短い導入で、詳しくは次の段以降に続きます。いまの組織でも、若手や現場の人材を思い切って登用する機会があります。成功すれば組織が活気づきますが、失敗すれば本人にも周囲にも傷が残るので、軽い気持ちでは決められません。
この章句が説くこと
挙人抜擢任用責任先例登用
関連する章句
-
『宋名臣言行録』前集巻四・冦凖章聖、嘗て兩府に謂いて、一人を擇びて馬步軍指揮使と為さんと欲す。公方に其の事を議す。吏の文籍を以て進むる者有り。公其の故を問う。曰く、例簿なりと。公曰く、今、朝廷、一牙官を用いんと欲す。尚お例を檢するを須つか。安んぞ我輩を用いんや。國政を壊る者は、正に此に由るのみと。
-
尚書・君牙嗚呼(ああ)!丕いに顕らかなるかな、文王の謨。丕いに承くるかな、武王の烈。我が後人を啓き佑け、咸く正を以てして欠くる罔し。爾惟れ敬みて乃の訓を明らかにし、用て先王に奉じ若へ。文・武の光命に対揚し、前人に追配せよ。』王若のごとく曰く、『君牙よ、乃惟れ先正に由り、旧典時れ式れ、民の治乱は茲に在り。乃の祖考の行ふ攸に率ひ、乃の辟の乂むる有るを昭らかにせよ。』
-
『甲陽軍鑑』品第四十八扨また諸人の批判には、さいげんなき法花坊機にあがらん、又はあぶられんとのさた也、奉行衆も此以前岩村田法華坊主、何にても證拠なきさへ以て御分国をはらはるゝ、まして是は大方の御成敗にては有間敷、いそぎ改め出し、日記に付、言上申べしとて書立を以て申上る、
-
『春秋左氏伝』昭公十三年 奥主有り、外援無し善に下りて齊肅、賄を藏せず、欲に從はず、施舍して倦まず、善を求めて厭かず。是を以って國を有つ、亦た宜ならずや。我が先君文公は、狐季姬の子なり。獻に寵有り。學を好みて貳はず。生まれて十七年、士五人有り。先大夫子餘・子犯有りて、以って腹心と為す。魏犨・賈佗有りて、以って股肱と為す。齊・宋・秦・楚有りて、以って外主と為す。欒・郤・狐・先有りて、以って内主と為す。亡ぐること十九年、志を守ること彌々篤し。惠・懷民を棄て、民從ひて之に與す。獻に異親無く、民に異望無し。天方に晉を相く。將た何を以ってか文に代へん。此の二君は、子干に異なり。共には寵子有り、國には奧主有り。民に施す無く、外に援無し。晉を去れども送らず、楚に歸れども逆へず。何を以ってか國を冀はん」と。晉虒祁を成す。諸侯の朝して歸る者、皆貳心有り。郠を取るが為の故に、晉將に諸侯を以って來り討たんとす。叔向曰く、「諸侯以って威を示さざる可からず」と。乃ち並びに會を徵して吳に告ぐ。
-
『甲陽軍鑑』品第四十七其後仰出しには、彼落合彥助事曲淵に年こそおとりたりとも、武辺の事さのみおとる者にてなし、さるについて逍遥軒にとらせ候所に、曲淵が蔵前にて奉行どもに雑言の事赦免せしめてありとて、いつもさやう有べきと存、事下より上をはからふたる様子言語同断、口惜く思召し候、其上第一に彼彥助をあれほどの臆病者にて有べしとは御存知なし、
-
尚書・周官古に學びて官に入り、事を議するに制を以てすれば、政乃ち迷わず。
人生を、一行の式にしてみた。
志×積×時×憤÷(1+執)+命。古典から導いた式『人生の方程式』と、二十四の悩みに古典が答える『人生の教科書』(PDF)、師導の全機能1か月がセットで700円です。
本の中身を見る