宋名臣言行録 / 前集巻四・冦凖
章聖嘗謂兩府欲擇一人為馬步軍指揮使公方議其事吏有以文籍進者公問其故曰例簿也公曰今朝廷欲用一牙官尚須檢例耶安用我輩哉壊國政者正由此耳
新字:章聖嘗謂両府欲択一人為馬歩軍指揮使公方議其事吏有以文籍進者公問其故曰例簿也公曰今朝廷欲用一牙官尚須検例耶安用我輩哉壊国政者正由此耳
書き下し
章聖、嘗て兩府に謂いて、一人を擇びて馬步軍指揮使と為さんと欲す。公方に其の事を議す。吏の文籍を以て進むる者有り。公其の故を問う。曰く、例簿なりと。公曰く、今、朝廷、一牙官を用いんと欲す。尚お例を檢するを須つか。安んぞ我輩を用いんや。國政を壊る者は、正に此に由るのみと。
現代語訳
真宗がかつて二府に、一人を選んで馬歩軍指揮使にしたいと告げた。公はちょうどその件を議していた。役人で書類を持って進み出た者があった。公はその理由を尋ねた。「先例の帳簿です」と答えた。公は言った。「いま朝廷が一人の下級武官を用いようとしている。それでもなお先例を調べるのを待たなければならないのか。それでは私たちを使う意味がどこにある。国政を壊すのは、まさにここから起こるのだ」。
解説
先例の帳簿を持ってきた役人に、その場で言い放った条です。下級武官を一人任じるのに、先例を調べるのを待つのか。それでは私たちを使う意味がどこにある。判断のために置かれている人が、先例を写す係になっているなら要らない、という話です。締めが強い。国政を壊すのは、まさにここから起こる、と。大きな失政ではなく、小さな決裁の逃げ方を名指ししています。
この章句が説くこと
今朝廷一牙官を用いんと欲す尚お例を検するを須つか安んぞ我輩を用いんや国政を壊る者は正に此に由るのみ先例決断責任
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