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武治提要 / 知人・第12段

武將人を知の道、其實人を棄べからざるが爲なり。四海の人、中の中等以下は多く、中の上等以上尤稀なり。人を知こと明なるときは、其器に應じて以てこれを用ゆべし。其撰こと審なるときは、人々必ず其德を琢磨するに志べし。これ風俗を化するの道にして、武將の寬仁なり。其間其質下の下等にして、竟に化すべからず 國家に害あるものは、四夷に放て中國を同せざること、武治の要なり。

新字:武将人を知の道、其実人を棄べからざるが為なり。四海の人、中の中等以下は多く、中の上等以上尤稀なり。人を知こと明なるときは、其器に応じて以てこれを用ゆべし。其撰こと審なるときは、人々必ず其徳を琢磨するに志べし。これ風俗を化するの道にして、武将の寛仁なり。其間其質下の下等にして、竟に化すべからず 国家に害あるものは、四夷に放て中国を同せざること、武治の要なり。

書き下し

武將人を知の道、其實人を棄べからざるが爲なり。四海の人、中の中等以下は多く、中の上等以上尤稀なり。人を知こと明なるときは、其器に應じて以てこれを用ゆべし。其撰こと審なるときは、人々必ず其德を琢磨するに志べし。これ風俗を化するの道にして、武將の寬仁なり。其間其質下の下等にして、竟に化すべからず 國家に害あるものは、四夷に放て中國を同せざること、武治の要なり。

現代語訳

武将が人を知る道は、結局のところ、人を見捨てないためである。世の中の人は、中の中の等以下が多く、中の上の等以上は最も稀である。人を知ることが明らかであれば、その器に応じて用いることができる。選ぶことが詳しければ、人々は必ず自分の徳を磨こうと志す。これが風俗を化する道であり、武将の寛仁である。そのなかに、生まれつきの質が下の下で、ついに化すことができず、国家に害をなす者がいるなら、四方の異民族の地に放って、中国と同じにしないことが、武治の要である。

解説

人を知る理由は選別ではなく、人を見捨てないためだと言い切る段です。世の人の多くは中程度以下で、飛び抜けた人は稀だという現実を前提に、器に応じて用いる道を示します。選び方が行き届いていれば、人々は自分を磨こうとする、とも述べます。評価が公正であることが、全体の向上心を促すという見方です。末尾の、どうしても改まらず害をなす者を遠ざけるという部分は、当時の国家観にもとづく厳しい処断で、いまの感覚とは距離があります。それでも、凡人が大半の組織で、適材適所を丁寧に行うことが人を育てる土台になるという点は、現代の管理職にも通じます。

この章句が説くこと

適材適所寛仁人を見捨てない器風俗評価

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