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武備小学抄録 / 應變爲常第一・可識常與變肝要事・変を常として備え、事に応じる

今日則亂世の心になりて、戰場の作法、軍用の備へ、武具馬具にも委敷心を用ひ、明日ありと思ふ心を止て、今日此事を仕舞はてではならざる事と思ふ樣に、隨分細かに詮議を遂、作法正しく士たる者の本意に背ぬやふにすべし、心を變の塲におけば、それがすぐに常となりて、變出來りても、鼓の桴におふじて音いて、鏡にかげのうつるよりも速也、か樣なれば氣も浩然になりて、仁義の大勇士たるべし、

新字:今日則乱世の心になりて、戦場の作法、軍用の備へ、武具馬具にも委敷心を用ひ、明日ありと思ふ心を止て、今日此事を仕舞はてではならざる事と思ふ様に、随分細かに詮議を遂、作法正しく士たる者の本意に背ぬやふにすべし、心を変の塲におけば、それがすぐに常となりて、変出来りても、鼓の桴におふじて音いて、鏡にかげのうつるよりも速也、か様なれば気も浩然になりて、仁義の大勇士たるべし、

書き下し

今日則亂世の心になりて、戰場の作法、軍用の備へ、武具馬具にも委敷心を用ひ、明日ありと思ふ心を止て、今日此事を仕舞はてではならざる事と思ふ樣に、隨分細かに詮議を遂、作法正しく士たる者の本意に背ぬやふにすべし、心を變の塲におけば、それがすぐに常となりて、變出來りても、鼓の桴におふじて音いて、鏡にかげのうつるよりも速也、か樣なれば氣も浩然になりて、仁義の大勇士たるべし、

現代語訳

今日をそのまま乱世の心構えとして、戦場の作法、軍用の備え、武具や馬具にも細かく心を用い、明日があると思う心をやめて、今日このことを仕上げねばならないと思うように、できるかぎり細かく吟味を遂げ、作法を正しく、士たる者の本意に背かないようにすべきです。心を変事の場に置けば、それがそのまま常となり、変事が起こっても、鼓が桴に応じて音が出るよりも、鏡に影が映るよりも速く対応できます。このようであれば気も浩然(のびやか)となり、仁義の大勇士となるでしょう。

解説

前章句を受け、日ごろから非常時の心構えで備え、細部まで詰めておけば、いざという時には鼓が撥に応じるように即応できると説きます。変事を常に想定する習慣が、落ち着いた気持ちと大きな勇気につながるという考えです。実務では、避難訓練やバックアップ、緊急連絡網の整備、引き継ぎ資料の更新などがこれにあたります。明日やればよいと先送りせず、今日できる準備を一つ終わらせる姿勢が、いざというときの判断の速さと部下の安心感を生みます。
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この章句が説くこと

『武備小学抄録』伊奈貞昭応変為常備え作法即応

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