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弁名 / 文質體用本末

有對禮言者。如曰博學於文。約之以禮。是也。是文指詩書禮樂言之。然詩書禮樂在外。苟欲成德於己。則在以禮守之。是禮乃文中一物。其言若不倫然。古言爲爾。如禮與其奢也寧儉。喪與其易也寧戚。亦喪是喪禮。亦吉凶軍賓嘉之一。而禮與喪對說。可以見已。

新字:有対礼言者。如曰博学於文。約之以礼。是也。是文指詩書礼楽言之。然詩書礼楽在外。苟欲成徳於己。則在以礼守之。是礼乃文中一物。其言若不倫然。古言為爾。如礼与其奢也寧倹。喪与其易也寧戚。亦喪是喪礼。亦吉凶軍賓嘉之一。而礼与喪対説。可以見已。

書き下し

礼に対して言ふ者有り。「博く文を学び、之を約するに礼を以てす」と曰ふが如き、是なり。是れ文は詩書礼楽を指して之を言ふ。然れども詩書礼楽は外に在り。苟くも徳を己に成さんと欲せば、則ち礼を以て之を守るに在り。是れ礼は乃ち文中の一物なり。其の言倫ならざるが若く然り、古言爲り。「礼は其の奢らんよりは寧ろ倹せよ、喪は其の易めんよりは寧ろ戚め」の如き、亦た喪は是れ喪礼にして、亦た吉凶軍賓嘉の一なり。而るに礼と喪と対して説く、以て見るべきのみ。

現代語訳

礼に対して言う場合がある。「博く文を学び、これを礼で締めくくる」というのがそれである。この文は詩書礼楽を指して言っている。しかし詩書礼楽は自分の外にある。もし徳を自分に成そうとするなら、礼によってそれを守ることにかかっている。つまり礼は文の中の一つのものである。その言い方は筋が通らないように見えるが、古い言葉とはそういうものである。「礼は奢るよりはむしろ倹約せよ、喪は手際よく整えるよりはむしろ悲しみ尽くせ」というのも、喪は喪礼であり、吉・凶・軍・賓・嘉の五礼の一つである。それなのに礼と喪を対にして言っている。これで(古言の言い方が)わかるだろう。

解説

「博文約礼」では文と礼が対になるが、礼は詩書礼楽、つまり文の一部である。部分と全体を対にするのは論理的に見えないが、古言とはそういう言い方をするのだと徂徠は説く。喪礼も礼の一つなのに「礼」と「喪」を並べる例を添えて、用例から言葉の癖をつかむ。後世の論理で古典を整えようとせず、古い言葉の使い方そのものに合わせて読むという古文辞学の手つきである。他部門の資料を読むときも、その部署独特の言葉の使い方を先につかむと誤読が減る。

この章句が説くこと

文礼博文約礼古言喪詩書礼楽

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