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弁名 / 陰陽五行

然聖人之道。奉天命以行之。故其立數紀物。亦有所法象天地。以神明其德。是五行之說所以興也。祇洪範五事庶徵。以類相感。醫書五運六氣及聲色臭味。以察人臟腑。皆似實有其理者焉。意者殷人貴鬼。巫咸巫賢世爲大臣。洪範葢巫者所傳。其所以藉是箴人君。必別有其術。而今失傳也。

新字:然聖人之道。奉天命以行之。故其立数紀物。亦有所法象天地。以神明其徳。是五行之説所以興也。祇洪範五事庶徴。以類相感。医書五運六気及声色臭味。以察人臓腑。皆似実有其理者焉。意者殷人貴鬼。巫咸巫賢世為大臣。洪範葢巫者所伝。其所以藉是箴人君。必別有其術。而今失伝也。

書き下し

然れども聖人の道は、天命を奉じて以て之を行ふ。故に其の数を立て物を紀するも、亦た天地に法象して、以て其の徳を神明にする所有り。是れ五行の説の興る所以なり。祇だ洪範の五事庶徴、類を以て相感じ、医書の五運六気及び声色臭味、以て人の臓腑を察す。皆実に其の理有るに似たる者なり。意ふに殷人は鬼を貴び、巫咸・巫賢世々大臣為り。洪範は蓋し巫者の伝ふる所、其の是に藉りて人君を箴する所以は、必ず別に其の術有りて、今伝を失ふなり。

現代語訳

しかし聖人の道は、天命を奉じて行うものである。だから数を立て物を目印することにも、天地にかたどって、その徳を神妙にするところがある。これが五行の説が興った理由である。ただ、洪範の五事と庶徴が類によって感応し合うことや、医書の五運六気および音・色・匂い・味によって人の内臓を診ることは、みな実際にその理があるかのように見える。思うに、殷の人は鬼神を貴び、巫咸・巫賢が代々大臣となった。洪範はおそらく巫者が伝えたもので、それによって君主を戒めたのには、必ず別に術があったのだろうが、今はその伝えが失われているのである。

解説

五行が単なる記号なら、なぜこれほど広まったのか。徂徠は、聖人の道が天命を奉じるものである以上、数や分類にも天地に倣って神妙さを持たせたからだと説明する。洪範の天人感応や医書の五運六気には実際に理があるように見えるが、洪範はおそらく鬼神を貴んだ殷の巫者の伝えで、それで君主を戒めた本来の術はもう失われていると推測する。わからないものは、わからないと認めて断定しない態度である。伝わり方が途切れた知識を、理屈で埋めて体系化しないという節度も学びたい。

この章句が説くこと

五行天命洪範巫医書聖人

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