弁名 / 禮
夫人言則喩。不言則不喩。禮樂不言。何以勝於言語之敎人也。化故也。習以熟之。雖未喩乎。其心志身體。既潜與之化。終不喩乎。且言而喩。人以爲其義止是矣。不復思其餘也。是其害。在使人不思已。禮樂不言。不思不喩。其或雖思不喩也。亦未如之何矣。則旁學它禮。學之博。彼是之所切劘。自然有以喩焉。學之既博。故其所喩。莫有所遺已。且言之所喩。雖詳說之。亦唯一端耳。禮物也。衆義所苞塞焉。雖有巧言亦不能以盡其義者也。是其益在默而識之矣。先王之敎。是其所以爲至善也。
新字:夫人言則喩。不言則不喩。礼楽不言。何以勝於言語之教人也。化故也。習以熟之。雖未喩乎。其心志身体。既潜与之化。終不喩乎。且言而喩。人以為其義止是矣。不復思其余也。是其害。在使人不思已。礼楽不言。不思不喩。其或雖思不喩也。亦未如之何矣。則旁学它礼。学之博。彼是之所切劘。自然有以喩焉。学之既博。故其所喩。莫有所遺已。且言之所喩。雖詳説之。亦唯一端耳。礼物也。衆義所苞塞焉。雖有巧言亦不能以尽其義者也。是其益在黙而識之矣。先王之教。是其所以為至善也。
書き下し
夫れ人は言へば則ち喩り、言はざれば則ち喩らず。礼楽は言はず、何を以て言語の人を教ふるに勝るや。化するが故なり。習ひて以て之に熟すれば、未だ喩らずと雖も、其の心志身体、既に潜かに之と化す。終に喩らざらんや。且つ言ひて喩れば、人以為へらく其の義是に止まると。復た其の余を思はざるなり。是れ其の害は、人をして思はざらしむるに在るのみ。礼楽は言はず、思はざれば喩らず。其の或いは思ふと雖も喩らざるや、亦た未だ之を如何ともする莫し。則ち旁く它の礼を学ぶ。学ぶこと博ければ、彼是の切劘する所、自然に以て喩る有り。学ぶこと既に博し。故に其の喩る所、遺る所有ること莫し。且つ言の喩す所は、詳らかに之を説くと雖も、亦た唯だ一端のみ。礼は物なり。衆義の苞塞する所なり。巧言有りと雖も亦た以て其の義を尽くすこと能はざる者なり。是れ其の益は黙して之を識るに在り。先王の教、是れ其の至善為る所以なり。
現代語訳
人は言われればわかり、言われなければわからない。礼楽は何も語らないのに、どうして言葉で教えるより勝るのか。感化するからである。繰り返し習って熟すれば、まだ理解していなくても、心も身体もすでにひそかに礼と一体になっている。最後には理解しないことがあろうか。しかも言葉で説明されてわかると、人はその意味はそれだけだと思い込み、それ以上を考えなくなる。言葉の害は人に考えさせなくするところにある。礼楽は語らないので、考えなければわからない。考えてもわからないときも、どうしようもないわけではない。ほかの礼を広く学べばよい。広く学べば、あれとこれとが磨き合って、自然とわかるようになる。学びが広いので、わかったことに漏れがない。そもそも言葉で教えられることは、どれほど詳しく説いても一面にすぎない。礼は「物」であり、多くの意味がぎっしり詰まっている。どんな巧みな言葉でもその意味を言い尽くすことはできない。その効用は、言葉にせずに会得するところにある。これこそ先王の教えが最善である理由である。
解説
この章句が説くこと
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