万民徳用 / 三寶の使い方・第一
一、佛法修行は、六賊煩惱を退治するなり。心弱くしてかなふべからず。法身堅固の心を以て、信心勇猛精進の兵を先となし、本來空の劔を用ひて、我執貪着の妄想心を切拂ひ、切に急に進て、十二時中間斷なく金剛の心に住し、夢中共に用得て自然に純熟し、內外打成一片と成で、業識無明の魔軍を悉く討滅し、忽然夢醒め、實有の城柳を打破り、生死の冤敵を裁斷して、般若の都に居住を定め、大平を守る。此の心則ち武勇に使ふ寶なり。
新字:一、仏法修行は、六賊煩悩を退治するなり。心弱くしてかなふべからず。法身堅固の心を以て、信心勇猛精進の兵を先となし、本来空の剣を用ひて、我執貪着の妄想心を切払ひ、切に急に進て、十二時中間断なく金剛の心に住し、夢中共に用得て自然に純熟し、内外打成一片と成で、業識無明の魔軍を悉く討滅し、忽然夢醒め、実有の城柳を打破り、生死の冤敵を裁断して、般若の都に居住を定め、大平を守る。此の心則ち武勇に使ふ宝なり。
書き下し
一、仏法修行は、六賊煩悩を退治するなり。心弱くしてかなふべからず。法身堅固の心を以て、信心勇猛精進の兵を先となし、本来空の剣を用ひて、我執貪着の妄想心を切払ひ、切に急に進て、十二時中間断なく金剛の心に住し、夢中共に用得て自然に純熟し、内外打成一片と成で、業識無明の魔軍を悉く討滅し、忽然夢醒め、実有の城柳を打破り、生死の冤敵を裁断して、般若の都に居住を定め、大平を守る。此の心則ち武勇に使ふ宝なり。
現代語訳
一、仏法の修行は、六賊・煩悩を退治することである。心が弱くては叶わない。法身の堅固な心をもち、信心と勇猛精進の兵を先頭に立て、本来空の剣を用いて、我執・貪着の妄想心を切り払い、ひたすら急ぎ進み、一日中絶え間なく金剛の心にとどまり、夢の中でも用いて自然に熟し、内も外も一つにまとまり、業識・無明の魔軍をことごとく討ち滅ぼし、たちまち夢が覚め、実体があると思い込んだ城や柳を打ち破り、生死の宿敵を断ち切って、般若の都に居を定め、太平を守る。この心がすなわち、武勇に使う宝である。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
-
『驢鞍橋』卷中先つ仏法と云ふは、六賊煩悩を打滅す事也。なに生々悪道ずきに成り居る身に添ふ□打取ことなる間、弱き心ではならぬ也。法身堅固の心とて是非にと思ふ心を強く定むへし。然らは信心起るへし。信心さへ強けれは、勇猛起るもの也。次きに精進心は起るもの也。爰に於て、ずだはこと□□と強く切払へは、切なる心、急なる心起るもの也。此の時夢中ともにぬけす、金剛心となり熟して内外打成一片となつて、内にも一念不生、外にも一塵碍る境界なく、業識無明の魔軍共を尽く打滅す也。然れ共是れまてはまだ夢中に打て取つた也。未だ実有は尽きぬず。ほつかと大夢醒め、はらりと実有破れ、生死を出て、一切を離れて大安楽に住する也。なにと此の心は武勇に使れましきや。
-
『驢鞍橋』卷中師一日謂衆曰く、今時法のすへ悪しく成りたる故に、人皆仏法と云ふ者は、世間の用に立たぬものと思ふ也。其の儀に非す。世間の三宝とて、第一世間の用に立つもの也。さなくんば、三宝の名は偽り也。然る間、此の広大の三宝の徳用を知らしめん為めに、三宝の徳用を書く也。心弱くして叶ふへからす。法身堅固心を以て、信心勇猛精進の兵を先とし、本来空の剣を用て、我執貪着の妄想心を切払ふ、切に急に進て、十二時中間断なく金剛の心に住し、夢中共に用ゐ得て、自然に純熟して、内外打成一片となつて、業識無明の魔軍を悉く討滅し、忽然夢醒め実有の城墎と打破り、生死の冤敵を截断して、般若の都に居住を定め、大平を守る、此の心即ち武勇に使ふ宝也。
-
万民徳用・三寶の使い方・第九九、仏法修行は、迷悶の心を去て三毒の心を離る、此の心即ち諸煩悩を断して心病なき宝なり。
-
万民徳用・三寶の使い方・第六六、仏法修行は、万般差別の心を去り、万念に勝得て一心に住す、此の心則ち一切所作為の上に用得て、善悪さはりなき宝なり。
-
万民徳用・修行之念願・第七条一、仏像建立の趣をみるに、門に金剛の形像を立置き、座敷には十二神、十六善神、八金剛、四天王、五大尊、各威勢をふるひ、物の具を着し、鉾刀杖弓矢を持てならびましますなり。此の意に徹せずして修行する人は、六賊煩悩を治する事かたかるべし。修行疎にして、此の意に至るべからず。願はくは仏像に眼を着て修行し給へかしとの念願なり。夫れ仏法は、人間の悪心を滅する法なり。仏弟子その道を用ゐざらんや。然るに今時仏意に至るべき修行疎にして、名聞利養に住し、邪路に落つ。願はくは仏弟子真の道に入て、迷の衆生を引導したまへかしと念願之外無他事。
-
万民徳用・武士日用・答その二前半答て云はく、修行の道、千差万別なりといへとも、肝要は、唯身を思ふ念を退治するの外なし。苦の根源は、已己を思ふ一念なり。如此なりとしるは理なり、此の理を知て力を出し、真実勇猛の心を以て、此の一念を滅却するは、偏に義のなす処なり。理なき人は、苦楽の根源を弁へす。義なき人は、生死のきつなを切る事あたはず。強く眼を着くべし。然れは凡夫心に物に勝て浮ふ心あり、物に負ては沈む心あり。浮ふ心を用ゆるは、仏界に入る門なり。沈む心を用ゆるは、獄中に入る道なり。専ら出離の願力を以て、昼夜浮む心を守べし。物に勝て浮ふ心の類、勇猛の心を体とす。一、生死を守る心。二、恩をしる心。三、一陣にすゝむ心。四、因果の理をしる心。五、幻化無常を観する心。六、此の身の不浄を観する心。七、光陰を惜む心。八、三宝を信仰する心。九、此の身を主君に抛つ心。十、自已を守る心。十一、捨身を守る心。十二、自己の非をしる心。十三、貴人主君の前に居する心。十四、仁義を守る心。十五、仏語祖語眼を着る心。十六、慈悲正直の心。十七、一大事因縁を思ふ心。如此の心は、勇猛堅固の心より出る故に、諸の執着を離れ、物に勝て浮ふなり。去れは浮ふ心を守る時は、忽ち出て死すとも、苦患軽くなるべし。此の心を守らん人は、唯能く金剛の形像、不動の像等に眼を着ぐへし。是則ち悪魔降伏の体を表せり。勇猛堅固の心あらは、是れをしるべし。怯弱の心を以てみる事有るべからず。此の勇猛の心間断なき時は、心城堅固にして、無碍自在の徳力あり。縦ひ八万四千の魔軍嬈ひ起て責め来るとも、面を合する事あたはず、還て威勢を失ひ力尽きて、悉く消滅すへし。武勇を専とする人、豈に此の心を用ねざらんや。若し怯弱の心にして、着相の念あらは、魔軍力を得、威勢をまして、即時に法性城中に責め入り、心王を撼惑し、六賊喜悦の眉をひらき、邪魔自在を得、十八界に飛行して、終に泥犂に沈みはつへし。切に用心せすば有るべからす。物に負て沈む心の類。一、己を忘て心をぬかす油断の心。
人生を、一行の式にしてみた。
志×積×時×憤÷(1+執)+命。古典から導いた式『人生の方程式』と、二十四の悩みに古典が答える『人生の教科書』(PDF)、師導の全機能1か月がセットで700円です。
本の中身を見る