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晏子春秋 / 外篇下・莊公圖莒,國人擾,紿以晏子在,乃止

莊公闔門而圖莒,國人以為有亂也,皆操長兵而立於衢閭。公召睢休相而問曰:「寡人闔門而圖莒,國人以為有亂,皆操長兵而立於衢閭,奈何?」休相對曰:「誠無亂。而國人以為有,則仁人不存。請令于國,言晏子之在也。」公曰:「諾。」以令于國:「孰謂國有亂者,晏子在焉。」然後皆散兵而歸。君子曰:「夫行不可不務也。晏子存而民心安,此非一日之所為也,有所以見於前信於後者。是以晏子立人臣之位,而安萬民之心。」

新字:荘公闔門而図莒,国人以為有乱也,皆操長兵而立於衢閭。公召睢休相而問曰:「寡人闔門而図莒,国人以為有乱,皆操長兵而立於衢閭,奈何?」休相対曰:「誠無乱。而国人以為有,則仁人不存。請令于国,言晏子之在也。」公曰:「諾。」以令于国:「孰謂国有乱者,晏子在焉。」然後皆散兵而帰。君子曰:「夫行不可不務也。晏子存而民心安,此非一日之所為也,有所以見於前信於後者。是以晏子立人臣之位,而安万民之心。」

書き下し

荘公門を闔じて莒を図る。国人以て乱有りと為し、皆長兵を操りて衢閭に立つ。公睢休相を召して問いて曰く、「寡人門を闔じて莒を図るに、国人以て乱有りと為し、皆長兵を操りて衢閭に立つ、奈何せん」と。休相対えて曰く、「誠に乱無し。而るに国人以て有りと為すは、則ち仁人存せざればなり。請う国に令して、晏子の在ることを言わん」と。公曰く、「諾」と。以て国に令す、「孰か国に乱有りと謂う、晏子在り」と。然る後皆兵を散じて帰る。君子曰く、「夫れ行いは務めざるべからず。晏子存して民心安んず、此れ一日の為す所に非ず、前に見われて後に信ぜらるる所以の有ればなり。是を以て晏子は人臣の位に立ちて、万民の心を安んず」と。

現代語訳

荘公が門を閉ざして莒を攻める計画を練ると、国の人々は内乱が起きたと考え、みな長い武器を持って街角に立ちました。公は睢休相を呼んで尋ねました。「私が門を閉じて莒を攻める計画を練っていたら、国の人々は内乱だと思い、みな長い武器を持って街角に立っている。どうしたらよいか」。休相は答えました。「本当に内乱はございません。それなのに国の人々が内乱があると思うのは、仁人がいないからです。国に布告して、晏子がおられると告げさせてください」。公は言いました。「よかろう」。そこで国に布告しました。「国に乱があると言う者がいるか。晏子がいる」。その後、人々はみな武器を収めて帰りました。君子は言いました。「行いは努めなければならない。晏子がいて民の心が安らぐのは、一日で成ったことではなく、前に行いが見え、後に信じられる積み重ねがあったからだ。だから晏子は人臣の位にありながら、万民の心を安らがせることができる」。

解説

荘公が門を閉じて莒を図ると、民は内乱と受け取って武装し、街が緊張する事態になります。睢休相の進言は、乱はないが「仁人」がいないから民が不安になるのだと診断し、晏子の名を告げて収めるというものでした。民は「晏子在り」の一言で武器を収め、散じて帰ります。末尾の君子の評は、これが一日で成ったものではなく、前からの行いが後の信頼になったと述べます。現代の組織でも、非常時に社員が落ち着けるのは、平素の言行で積まれた信頼が背景にあるからです。経営者や管理職は、危機の場面で名前を出しただけで人が動くほどの信頼を、日々の言行で貯める必要があります。

この章句が説くこと

信頼安心危機対応荘公民心晏子春秋

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