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晏子春秋 / 外篇下・景公問天下有極大極細,晏子對

景公問晏子曰:「天下有極大物乎?」晏子對曰:「有。北溟有鵬,足遊浮雲,背淩蒼天,尾偃天間,躍啄北海,頸尾咳於天地,然而漻漻乎不知六翮之所在。」公曰:「天下有極細者乎?」晏子對曰:「有。東海有蟲,巢於蚊睫,再乳再飛,而蚊不為驚。臣嬰不知其名,而東海漁者,命曰焦冥。」

新字:景公問晏子曰:「天下有極大物乎?」晏子対曰:「有。北溟有鵬,足遊浮雲,背淩蒼天,尾偃天間,躍啄北海,頸尾咳於天地,然而漻漻乎不知六翮之所在。」公曰:「天下有極細者乎?」晏子対曰:「有。東海有虫,巣於蚊睫,再乳再飛,而蚊不為驚。臣嬰不知其名,而東海漁者,命曰焦冥。」

書き下し

景公晏子に問いて曰く、「天下に極大なる物有るか」と。晏子対えて曰く、「有り。北溟に鵬有り、足は浮雲に遊び、背は蒼天を淩ぎ、尾は天間に偃し、躍りて北海を啄み、頸尾天地に咳す。然れども漻漻乎として六翮の在る所を知らず」と。公曰く、「天下に極細なる者有るか」と。対えて曰く、「有り。東海に虫有り、蚊の睫に巣くい、再び乳し再び飛ぶも、蚊驚かず。臣嬰其の名を知らず、而れども東海の漁者、命けて焦冥と曰う」と。

現代語訳

景公が晏子に尋ねました。「天下に、きわめて大きいものはあるか」。晏子は答えました。「あります。北の溟に鵬がいて、足は浮雲の間に遊び、背は青空を越え、尾は天と地の間に伏し、躍り上がって北海をついばみ、首と尾は天地に響くほどです。それでもひっそりとして、六つの翼の羽がどこにあるのか分かりません」。公は言いました。「天下に、きわめて小さいものはあるか」。晏子は答えました。「あります。東海に虫がいて、蚊のまつ毛に巣を作り、二度子を育て二度飛び立っても、蚊は驚きません。私はその名を知りませんが、東海の漁師は焦冥と呼んでいます」。

解説

景公が極大のものと極小のものを順に尋ね、晏子が鵬と焦冥という二つの生き物で答える段です。鵬は雲の上から北海に至るほど大きく、しかも六翮のありかが分からないほどだと語られます。一方の焦冥は蚊のまつ毛に巣を作り、二度子を育てても蚊が気づかないほどの小ささです。極大と極小を並べて見せ、世界の幅広さを示す、問いかけへの機知に富んだ応答といえます。晏子は名を知らないと正直に断り、漁師の呼び名を借りて答える点も注目されます。現代の仕事でも、全体を俯瞰する眼と、細部の違いを見抜く眼の両方が要ります。分からないことを分からないと言う誠実さも、信頼の基本です。

この章句が説くこと

極大極小視野誠実問答鵬晏子春秋

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