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晏子春秋 / 外篇下・田無宇非晏子有老妻,晏子對以去老謂之亂

田無宇見晏子獨立於閨內,有婦人出於室者,髮斑白,衣緇布之衣,而無裡裘,田無宇譏之曰:「出於室何為者也?」晏子曰:「嬰之家也。」無宇曰:「位為中卿,食田七十萬,何以老妻為?」對曰:「嬰聞之,去老者謂之亂,納少者謂之淫。且夫見色而忘義,處富貴而失倫,謂之逆道。嬰可以有亂淫之行,不顧於倫,逆古之道乎?」

新字:田無宇見晏子独立於閨内,有婦人出於室者,髪斑白,衣緇布之衣,而無裡裘,田無宇譏之曰:「出於室何為者也?」晏子曰:「嬰之家也。」無宇曰:「位為中卿,食田七十万,何以老妻為?」対曰:「嬰聞之,去老者謂之乱,納少者謂之淫。且夫見色而忘義,処富貴而失倫,謂之逆道。嬰可以有乱淫之行,不顧於倫,逆古之道乎?」

書き下し

田無宇晏子の閨内に独り立つに見ゆ。婦人の室より出づる者有り、髪斑白にして、緇布の衣を衣て、裡裘無し。田無宇之を譏りて曰く、「室より出づるは何為る者ぞ」と。晏子曰く、「嬰の家なり」と。無宇曰く、「位は中卿たり、食田は七十万、何ぞ老妻を以て為さん」と。対えて曰く、「嬰之を聞く、老を去る者は之を乱と謂い、少を納るる者は之を淫と謂う。且つ夫れ色を見て義を忘れ、富貴に処りて倫を失う、之を逆道と謂う。嬰は以て乱淫の行い有り、倫を顧みず、古の道に逆らうべけんや」と。

現代語訳

田無宇は、晏子が奥の間に一人で立っているのを見ました。ある婦人が部屋から出てきましたが、髪は白髪まじりで、黒い布の衣を着て、裏地の毛皮もありませんでした。田無宇はこれをからかって言いました。「部屋から出てきたのは何者ですか」。晏子は言いました。「私の家の者です」。無宇は言いました。「あなたは中卿の位にあり、食邑は七十万もあるのに、どうして年老いた妻を置いておくのですか」。晏子は答えました。「私はこう聞いています。年老いた妻を去らせることを乱と言い、若い女を迎えることを淫と言う。さらに、色を見て義を忘れ、富貴にいて人倫を失うことを、道に逆らうと言う、と。私が乱や淫の行いをして、人倫を顧みず、古の道に逆らうことができましょうか」。

解説

田無宇が、晏子の質素な身なりの老妻を見て、地位に見合わないとからかう場面です。晏子は「老妻を去らせるのを乱と言い、若い女を迎えるのを淫と言う」と、伝えられた言葉で受け止めます。そのうえで、色を見て義を忘れ、富貴にいて人倫を失うことを逆道と呼び、自分はその道を行かないと明言します。ここでの要点は、地位が上がるほど身近な人への筋を通せるかが問われるという点です。この逸話が事実かは断定できません。現代でも、昇進や成功を機に、長く支えてくれた人との関係を軽んじる例は少なくありません。管理職は、肩書の変化が人への態度の変化を招いていないか、自分を点検する必要があります。

この章句が説くこと

倫理誠実身辺富貴夫婦晏子春秋

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