導師導古典を学びたいすべての人に 法人向けワークシート法人向けワークシート

晏子春秋 / 雑下・景公祿晏子平陰與槁邑晏子願行三言以辭

景公祿晏子以平陰與槁邑,反市者十一社。晏子辭曰:「吾君好治宮室,民之力弊矣;又好盤遊玩好以飭女子,民之財竭矣;又好興師,民之死近矣。弊其力,竭其財,近其死,下之疾其上甚矣,此嬰之所為不敢受也。」公曰:「是則可矣。雖然,君子獨不欲富與貴乎?」晏子曰:「嬰聞為人臣者,先君後身,安國而度家,宗君而處身,曷為獨不欲富與貴也!」公曰:「然則曷以祿夫子?」晏子對曰:「君商漁鹽,關市譏而不征,耕者十取一焉,弛刑罰,若死者刑,若刑者罰,若罰者免。若此三言者,嬰之祿,君之利也。」公曰:「此三言者,寡人無事焉,請以從夫子。」公既行若三言,使人問大國,大國之君曰:「齊安矣。」使人問小國,小國之君曰:「齊不我加矣。」

新字:景公禄晏子以平陰与槁邑,反市者十一社。晏子辞曰:「吾君好治宮室,民之力弊矣;又好盤遊玩好以飭女子,民之財竭矣;又好興師,民之死近矣。弊其力,竭其財,近其死,下之疾其上甚矣,此嬰之所為不敢受也。」公曰:「是則可矣。雖然,君子独不欲富与貴乎?」晏子曰:「嬰聞為人臣者,先君後身,安国而度家,宗君而処身,曷為独不欲富与貴也!」公曰:「然則曷以禄夫子?」晏子対曰:「君商漁塩,関市譏而不征,耕者十取一焉,弛刑罰,若死者刑,若刑者罰,若罰者免。若此三言者,嬰之禄,君之利也。」公曰:「此三言者,寡人無事焉,請以従夫子。」公既行若三言,使人問大国,大国之君曰:「斉安矣。」使人問小国,小国之君曰:「斉不我加矣。」

書き下し

景公晏子に禄するに平陰と槁邑とを以てし、市に反る者十一社なり。晏子辞して曰く、「吾が君宮室を治むるを好み、民の力弊れたり。又盤遊玩好を好みて以て女子を飭り、民の財竭きたり。又師を興すを好み、民の死近し。其の力を弊らし、其の財を竭くし、其の死を近づく。下の其の上を疾むこと甚だし。此れ嬰の敢えて受けざる所以なり」と。公曰く、「是れ則ち可なり。然りと雖も、君子独り富と貴とを欲せざらんや」と。晏子曰く、「嬰聞く、人臣為る者は、君を先にして身を後にし、国を安んじて家を度り、君を宗として身を処くと。曷為れぞ独り富と貴とを欲せざらん」と。公曰く、「然らば則ち曷を以て夫子に禄せん」と。晏子対えて曰く、「君、漁塩を商し、関市は譏して征せず、耕す者は十に一を取り、刑罰を弛め、死に若たる者は刑し、刑に若たる者は罰し、罰に若たる者は免ぜよ。此の三言の若きは、嬰の禄にして、君の利なり」と。公曰く、「此の三言は、寡人事とする無し。請う、以て夫子に従わん」と。公既に若の三言を行い、人をして大国に問わしむ。大国の君曰く、「斉安し」と。人をして小国に問わしむ。小国の君曰く、「斉我に加えず」と。

現代語訳

景公は晏子に、平陰と槁邑を禄として与えました。市に通じる十一の社を含む土地です。晏子は辞退して言いました。「わが君は宮殿の造営を好まれ、民の力は疲れ果てています。また遊びや珍しいものを好み、女たちを飾ることで、民の財は尽きています。また軍を起こすことを好まれ、民の死が近づいています。民の力を疲れさせ、財を尽くさせ、死を近づけています。下の者が上を恨むことは甚だしいのです。これが私が受けない理由です。」公は「それはもっともだ。だがそなたとて、富と貴を望まないことがあろうか」と言いました。晏子は答えます。「私はこう聞いています。人臣たる者は、君を先にして身を後にし、国を安んじて家を考え、君を主として身を置く者だと。どうして私だけが富と貴を望まないことがありましょう。」公が「ではどうそなたに禄を与えればよいか」と言うと、晏子は答えました。「君が、魚や塩の商いについて、関所や市では検査しても課税せず、耕す者には十分の一だけを取り、刑罰をゆるめ、死罪にあたる者は刑に、刑にあたる者は罰金に、罰金にあたる者は許してください。この三つのことは、私の禄であり、君の利でもあります。」公は「この三つは、私に差し支えない。どうかそなたの言に従おう」と言いました。公がこの三つを実行したのち、人を大国に問わせると、大国の君は「斉は安定している」と言いました。小国に問わせると、小国の君は「斉は我々を侵さない」と言いました。

解説

禄を辞退する晏子は、その理由として宮殿造営、遊興、出兵が民を苦しめている事実を、率直に公へ突きつけます。公が「富と貴を望まないのか」と返すと、晏子は臣下の道を述べたうえで、自分への禄ではなく、減税、刑罰の緩和、関市の自由化という三つの政策を求めました。個人への報酬を、民への政策に振り替えた形です。結果として、他国からも斉は安定していると言われ、君主の利にもなりました。上司が部下に報いるとき、報酬を直接渡すだけでなく、仕事の環境を整えることが、組織全体の利益と部下の本意にも沿う場合があります。報いの形を、受け手の願いに合わせて選ぶ視点です。

この章句が説くこと

諫言減税刑罰報酬民の負担晏子春秋

関連する章句

古典の入門書『人生の教科書』の表紙

人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。

古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。

本の中身を見る
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)+師導1か月=700円 本を見る