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晏子春秋 / 雑上・景公欲見高糾晏子辭以祿仕之臣/高糾治晏子家不得其俗乃逐之

景公謂晏子曰:「吾聞高糾與夫子游,寡人請見之。」晏子對曰:「臣聞之,為地戰者,不能成其王;為祿仕者,不能正其君。高糾與嬰為兄弟久矣,未嘗幹嬰之行,特祿仕之臣也,何足以補君乎?」高糾事晏子而見逐。高糾曰:「臣事夫子三年,無得,而卒見逐,其說何也?」晏子曰:「嬰之家俗有三,而子無一焉。」糾曰:「可得聞乎?」晏子曰:「嬰之家俗,閑處從容不談議,則疏;出不相揚美,入不相削行,則不與;通國事無論,驕士慢知者,則不朝也。此三者嬰之家俗,今子是無一焉,故嬰非特食饋之長也,是以辭。」

新字:景公謂晏子曰:「吾聞高糾与夫子游,寡人請見之。」晏子対曰:「臣聞之,為地戦者,不能成其王;為禄仕者,不能正其君。高糾与嬰為兄弟久矣,未嘗幹嬰之行,特禄仕之臣也,何足以補君乎?」高糾事晏子而見逐。高糾曰:「臣事夫子三年,無得,而卒見逐,其説何也?」晏子曰:「嬰之家俗有三,而子無一焉。」糾曰:「可得聞乎?」晏子曰:「嬰之家俗,閑処従容不談議,則疏;出不相揚美,入不相削行,則不与;通国事無論,驕士慢知者,則不朝也。此三者嬰之家俗,今子是無一焉,故嬰非特食饋之長也,是以辞。」

書き下し

景公晏子に謂いて曰く、「吾高糾の夫子と游ぶと聞く。寡人請う、之に見えん」と。晏子対えて曰く、「臣之を聞く、地の為に戦う者は、其の王を成す能わず。禄の為に仕うる者は、其の君を正す能わず、と。高糾は嬰と兄弟たること久し。未だ嘗て嬰の行を幹さず。特だ禄仕の臣なり。何ぞ以て君を補うに足らんや」と。高糾晏子に事えて逐わる。高糾曰く、「臣夫子に事えて三年、得る無くして、卒に逐わる。其の説何ぞや」と。晏子曰く、「嬰の家俗に三有り。而るに子は一も無し」と。糾曰く、「聞くを得べきか」と。晏子曰く、「嬰の家俗は、閑処して従容なれば談議せざれば則ち疏んず。出でて相い美を揚げず、入りて相い行を削らざれば則ち与せず。国事を通ずるに論無く、士に驕り知者に慢ずれば、則ち朝せず。此の三者は嬰の家俗なり。今子是れ一も無し。故に嬰は特だ食饋の長たるのみに非ず。是を以て辞す」と。

現代語訳

景公が晏子に言いました。「高糾があなたと交遊していると聞いた。私は会ってみたい」。晏子は答えました。「私はこう聞いています。土地のために戦う者は、その主君を王にはできません。俸禄のために仕える者は、その主君を正せません。高糾は私と兄弟のような間柄で長くなりますが、これまで私の行いに口を挟んだことがありません。ただ俸禄のために仕える臣にすぎません。どうして君を補うに足りましょうか」。その後、高糾は晏子に仕えていましたが、追い出されました。高糾は言いました。「私は先生にお仕えして三年、何も得られず、ついには追われました。その理由は何でしょう」。晏子は言いました。「私の家の習わしは三つあります。ところがあなたには一つもありません」。高糾が「お聞かせ願えますか」と尋ねると、晏子は言いました。「私の家の習わしは、暇でくつろいでいるのに議論をしなければ疎んじ、外で互いの美点をほめ、内では互いの行いを削り合うことをしなければ交わらず、国事を話すのに議論もなく、士に驕り知者に慢心するなら朝廷に出さない、というものです。この三つが私の家の習わしです。いまあなたには一つもありません。私は食事を与える主人であるだけではありません。だから辞めていただきました」。

解説

景公が高糾に会いたいと言うと、晏子はこの男は禄のために仕える臣にすぎず、君を補う器ではないと断ります。のちに高糾は晏子に追われ、理由を尋ねると、晏子は三つの家の習わしを挙げました。談議、美点を揚げ過ちをただすこと、国事の議論の三つで、いずれも言葉で互いを磨く関係を指します。晏子にとって家来は、ただ養う相手ではなく、議論して主を正す相手でした。経営者にとって、イエスマンで固めた側近は居心地がよくても、主の判断を磨きません。部下に求めるのは従順さだけでなく、意見を言い合える関係であり、それがなければ組織の判断は鈍る、という教えとして読めます。

この章句が説くこと

側近諫言議論禄仕高糾晏子春秋

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