晏子春秋 / 雑上・曾子將行晏子送之而贈以善言
曾子將行,晏子送之曰:「君子贈人以軒,不若以言,吾請以言乎?以軒乎?」曾子曰:「請以言。」晏子曰,「今夫車輪,山之直木也。良匠煣之,其圓中規,雖有槁暴,不復嬴矣,故君子慎隱煣。和氏之璧,井裡之困也,良工修之,則為存國之寶,故君子慎所修。今夫蘭本,三年而成,湛之苦酒,則君子不近,庶人不佩;湛之麋醢,而賈匹馬矣。非蘭本美也,所湛然也,願子之必求所湛。嬰聞之,君子居必擇鄉,遊必就士,擇居所以求士,求士所以辟患也。嬰聞汩常移質,習俗異性,不可不慎也。」
新字:曽子将行,晏子送之曰:「君子贈人以軒,不若以言,吾請以言乎?以軒乎?」曽子曰:「請以言。」晏子曰,「今夫車輪,山之直木也。良匠煣之,其円中規,雖有槁暴,不復嬴矣,故君子慎隠煣。和氏之璧,井裡之困也,良工修之,則為存国之宝,故君子慎所修。今夫蘭本,三年而成,湛之苦酒,則君子不近,庶人不佩;湛之麋醢,而賈匹馬矣。非蘭本美也,所湛然也,願子之必求所湛。嬰聞之,君子居必択郷,遊必就士,択居所以求士,求士所以辟患也。嬰聞汩常移質,習俗異性,不可不慎也。」
書き下し
曾子将に行かんとし、晏子之を送りて曰く、「君子人に贈るに軒を以てするは、言を以てするに若かず。吾言を以てせんことを請うか、軒を以てせんか」と。曾子曰く、「請う、言を以てせん」と。晏子曰く、「今夫れ車輪は、山の直木なり。良匠之を煣むれば、其の円なること規に中り、槁暴有りと雖も、復た贏びず。故に君子は煣むるを慎む。和氏の璧は、井裡の困なり。良工之を修むれば、則ち存国の宝と為る。故に君子は修むる所を慎む。今夫れ蘭の本は、三年にして成るも、之を苦酒に湛せば、則ち君子は近づけず、庶人は佩びず。之を麋醢に湛せば、而ち賈は匹馬なり。蘭の本の美なるに非ず、湛す所の然らしむるなり。願わくは子の必ず湛す所を求めよ。嬰之を聞く、君子は居るに必ず郷を択び、遊ぶに必ず士に就く。居を択ぶは士を求むる所以、士を求むるは患を辟くる所以なり。嬰聞く、汩は常を移し、習俗は性を異にす。慎まざる可からず」と。
現代語訳
曾子が旅立とうとしたとき、晏子は見送って言いました。「君子が人に贈り物をするなら、車よりも言葉のほうがよいと言います。言葉を贈りましょうか、車を贈りましょうか」。曾子は「言葉をお願いします」と答えました。晏子は言いました。「車輪はもともと山のまっすぐな木です。腕のよい職人がたわめれば、円形はコンパスに合い、乾いて日にさらされても、もう伸びません。だから君子は、たわめる過程を慎みます。和氏の璧は、井戸端の石の塊でした。腕のよい工人が磨けば、国を保つ宝になります。だから君子は、磨かれ方を慎みます。蘭の根は三年かけて育ちますが、苦い酒に浸せば君子は近づかず、庶民も身につけません。肉の塩辛に浸せば、馬一頭ほどの値になります。蘭の根が優れているのではなく、浸した液がそうさせるのです。どうか、あなたは必ず浸す先を選んでください。私は聞いています。君子は住むところを必ず選び、遊ぶときは必ず士に近づく。住まいを選ぶのは士を求めるため、士を求めるのは災いを避けるためだと。また、水の流れが常を移し、習俗が性質を変えることも聞いています。慎まないわけにはいきません」。
解説
この章句が説くこと
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