晏子春秋 / 雑上・晏子之魯進食有豚亡二肩不求其人
晏于之魯,朝食,進饋膳,有豚焉。晏子曰,「去其二肩。」晝者進膳,則豚肩不具,侍者曰:「膳豚肩亡。」晏子曰:「釋之矣。」侍者曰:「我能得其人。」晏子曰:「止。吾聞之,量功而不量力則民盡,藏餘不分則民盜,子教我所以改之,無教我求其人也。」
新字:晏于之魯,朝食,進饋膳,有豚焉。晏子曰,「去其二肩。」昼者進膳,則豚肩不具,侍者曰:「膳豚肩亡。」晏子曰:「釈之矣。」侍者曰:「我能得其人。」晏子曰:「止。吾聞之,量功而不量力則民尽,蔵余不分則民盗,子教我所以改之,無教我求其人也。」
書き下し
晏子魯に之き、朝食す。饋膳を進むるに、豚有り。晏子曰く、「其の二肩を去れ」と。昼者膳を進むるに、則ち豚肩具わらず。侍者曰く、「膳の豚肩亡し」と。晏子曰く、「之を釈てよ」と。侍者曰く、「我能く其の人を得ん」と。晏子曰く、「止めよ。吾之を聞く、功を量りて力を量らざれば則ち民尽き、餘を蔵して分たざれば則ち民盗む、と。子我に教うるに改むる所以を以てせよ。我に其の人を求むるを教うる無かれ」と。
現代語訳
晏子が魯に行き、朝の食事をとったとき、豚の料理が出されました。晏子は「その二つの肩肉は下げなさい」と言いました。昼の食事のとき、豚の肩肉が揃っていませんでした。給仕の者が「膳の豚の肩肉がなくなっています」と告げると、晏子は「それはもうよい」と言いました。給仕が「その者を突き止められます」と言うと、晏子は言いました。「やめなさい。私はこう聞いています。成果だけを測って力量を測らなければ民は力を尽くし、余りを蓄えて分け与えなければ民は盗む、と。あなたは、これをどう改めるかを私に教えなさい。犯人を探すことは教えないでください」。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
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『晏子春秋』雑下・景公睹晏子之食菲薄而嗟其貧晏子稱其參士之食晏子景公に相たり、脱粟の食、炙三弋、五卵、苔菜のみを食す。公之を聞き、往きて燕し、晏子の食を睹る。公曰く、「嘻、夫子の家、此くの如く其れ貧なるか。而るに寡人知らず、寡人の罪なり」と。晏子対えて曰く、「世の不足を以て、免粟の食に飽くは、士の一乞なり。炙三弋は、士の二乞なり。苔菜・五卵は、士の三乞なり。嬰、人に倍するの行い無くして、参士の食有り、君の賜厚し。嬰の家は貧しからず」と。再拝して謝す。
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『晏子春秋』雑下・梁丘據言晏子食肉不足景公割地將封晏子辭晏子斉に相たること三年、政平らかにして民説ぶ。梁丘据、晏子の中食にして肉足らざるを見、以て景公に告ぐ。旦日、晏子を封ずるに都昌を以てす。晏子辞して受けずして曰く、「富みて驕らざる者は、未だ嘗て之を聞かず。貧しくして恨みざる者は、嬰是れなり。貧しくして恨みざる所以の者は、若を以て師と為せばなり。今封ぜらるれば、嬰の師を易う。師已に軽くして、封已に重し。請う、辞せん」と。
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『晏子春秋』雑下・景公以晏子衣食弊薄使田無宇致封邑晏子辭晏子斉に相たり、十升の布を衣、脱粟の食を食らい、五卵、苔菜のみ。左右以て公に告ぐ。公之が為に邑を封じ、田無宇をして台と無塩とを致さしむ。晏子対えて曰く、「昔吾が先君太公、之を営丘に受け、地を為すこと五百里、世国の長たり。太公より公の身に至るまで、数十公有り。苟くも能く其の君を説ばしめて以て邑を取らば、公の身に至らず、斉を趣り搏ちて升土を求め、足を容れて寓するを得ざらん。嬰聞く、臣に徳有らば禄を益し、徳無くんば禄を退くと。悪くんぞ不肖の父の不肖の子の為に、封邑を為して以て其の君の政を敗る者有らんや」と。遂に受けず。
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『晏子春秋』外篇上・晏子衣鹿裘以朝景公嗟其貧晏子稱有飾晏子景公に相たり、布衣鹿裘にして以て朝す。公曰く、「夫子の家、此くの若く其れ貧しきや。是れ奚ぞ衣の悪しき。寡人知らず。是れ寡人の罪なり」と。晏子対えて曰く、「嬰之を聞く、蓋し人を顧みて而る後に衣食する者は、味を貪るを以て非と為さず。蓋し人を顧みて而る後に行う者は、邪僻を以て累と為さず。嬰不肖にして、嬰の族又嬰に如かざるなり。嬰を待ちて以て其の先人を祀る者五百家。嬰又布衣鹿裘を得て朝す。嬰に於て飾り有らざらんや」と。再拝して辞す。
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『晏子春秋』雑下・景公以晏子食不足致千金而晏子固不受晏子方に食す。景公使者をして至らしめ、食を分かちて之に食わしむ。使者飽かず、晏子も亦飽かず。使者反りて、之を公に言う。公曰く、「嘻、晏子の家、是くの若く其れ貧しきか。寡人知らず、是れ寡人の過ちなり」と。吏をして千金と市租とを致さしめ、以て賓客に奉ぜんことを請う。晏子辞す。三たび之を致すも、終に再拝して辞して曰く、「嬰の家貧しからず。君の賜を以て、沢三族を覆い、延びて交遊に及び、以て百姓を振う。君の賜厚し。嬰の家貧しからざるなり。嬰聞く、夫れ厚く之を君に取りて之を民に施せば、是れ臣、君に代わりて民に君たるなり。忠臣は為さず。厚く之を君に取りて民に施さざれば、是れ筐篋の蔵を為すなり。仁人は為さず。進みては君に取り、退きては罪を士に得、身死して財他人に遷るは、是れ宰蔵を為すなり。智者は為さず。夫れ十総の布、一豆の食、中に足れば免れん」と。景公晏子に謂いて曰く、「昔吾が先君桓公、書社五百を以て管仲に封ず。辞せずして受く。子の之を辞するは何ぞや」と。晏子曰く、「嬰聞く、聖人も千慮に必ず一失有り、愚人も千慮に必ず一得有りと。意うに管仲の失にして、嬰の得なる者か。故に再拝して敢えて命を受けず」と。
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『晏子春秋』諫下・景公藉重而獄多欲託晏子晏子諫五尺の童子、寸の熛を操れば、天下も之を足すに薪を以てする能わず。今、君の左右は、皆な熛を操るの徒なり。而るに君終に知らざるなり。鐘鼓は肆を成し、干戚は舞を成す。禹と雖も民の観を禁ずる能わず。且つ夫れ民の欲を飾りて、其の聴を厳しくし、其の心を禁ずるは、聖人も難しとする所なり。而るを況や、其の財を奪いて之を飢えしめ、其の力を労して之を疲れしめ、常に其の苦を致して、厳しく其の獄を聴き、痛く其の罪を誅するをや。嬰の知る所に非ざるなり」と。
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