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晏子春秋 / 雑上・景公游紀得金壺中書晏子因以諷之

景公游于紀,得金壺,發而視之,中有丹書,曰:「無食反魚,勿乘駑馬。」公曰:「善哉!如若言,食魚無反,則惡其鱢也;勿乘駑馬,惡其不遠取道也。」晏子對曰:「不然,食魚無反,毋盡民力乎;勿乘駑馬,則無置不肖於側乎。」公曰,「紀有書,何以亡也?」晏子對曰:「有以亡也。嬰聞之,君子有道,懸之閭。紀有此言,注之壺,不亡何待乎!」

新字:景公游于紀,得金壺,発而視之,中有丹書,曰:「無食反魚,勿乗駑馬。」公曰:「善哉!如若言,食魚無反,則悪其鱢也;勿乗駑馬,悪其不遠取道也。」晏子対曰:「不然,食魚無反,毋尽民力乎;勿乗駑馬,則無置不肖於側乎。」公曰,「紀有書,何以亡也?」晏子対曰:「有以亡也。嬰聞之,君子有道,懸之閭。紀有此言,注之壺,不亡何待乎!」

書き下し

景公紀に游び、金壺を得たり。発きて之を視るに、中に丹書有り、曰く、「反魚を食う無かれ、駑馬に乗る勿かれ」と。公曰く、「善いかな。若の言のごとくんば、魚を食らいて反す無きは、則ち其の鱢きを悪めばなり。駑馬に乗る勿かれとは、其の遠く道を取らざるを悪むなり」と。晏子対えて曰く、「然らず。魚を食らいて反す無しとは、民力を尽くす毋きか。駑馬に乗る勿かれとは、則ち不肖を側に置く無きか」と。公曰く、「紀に書有り、何を以て亡びしや」と。晏子対えて曰く、「以て亡ぶる有るなり。嬰之を聞く、君子道有れば、之を閭に懸く。紀此の言有るも、之を壺に注ぐ。亡びずして何をか待たんや」と。

現代語訳

景公が紀の地を巡ったとき、金の壺を見つけました。開けてみると中に朱書きの文があり、こう書いてありました。「魚を裏返して食べてはならない。のろい馬に乗ってはならない」。景公は言いました。「なるほど。魚を裏返さないのは生臭さを嫌うからで、のろい馬に乗るなというのは、遠くまで行けないのを嫌うからだな」。晏子は答えました。「そうではありません。魚を裏返さないとは、民の力を使い尽くすなという意味でしょう。のろい馬に乗るなとは、できの悪い者をそばに置くなという意味でしょう」。景公が「紀にはこのような書があったのに、なぜ滅びたのか」と尋ねると、晏子は答えました。「滅びるだけの理由があったのです。私は、君子に道があれば、それを村の門に掲げて民に知らせると聞いています。紀にはこの言葉があっても、壺に封じ込めてしまいました。滅びずに何を待つのでしょう」。

解説

金の壺から出た戒めの文を、景公は文字どおりの食事と馬の話と受け取り、晏子は君主の政の戒めとして読み替えます。魚を裏返すのは下の面まで食べ尽くすことで、民の力を搾り尽くすなという意味、のろい馬は人材を指す、という読みです。紀が滅びたのは戒めがあったからではなく、それを壺に隠し、人々に示さなかったからだと晏子は言います。ここでの要点は、良い言葉も使われなければ意味がないということです。会社の理念や行動指針が金庫や額縁に収まったまま、現場に降りていないことは珍しくありません。晏子の話は、掲げて共有し、日々の判断に使われてはじめて組織を守る、という点を教えてくれます。

この章句が説くこと

戒め理念の共有人材民力紀の滅亡晏子春秋

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