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晏子春秋 / 諫下・景公為履飾以金玉晏子諫

景公為履,黃金之綦,飾以銀,連以珠,良玉之絢,其長尺,冰月服之以聽朝。晏子朝,公迎之,履重,僅能舉足。問曰:「天寒乎?」晏子曰:「君奚問天之寒也?古聖人制衣服也,冬輕而暖,夏輕而凊。今金玉之履,冰月服之,是重寒也。履重不節,是過任也,失生之情矣。故魯工不知寒溫之節、輕重之量,以害正生,其罪一也;作服不常,以笑諸侯,其罪二也;用財無功,以怨百姓,其罪三也,請拘而使吏度之。」公曰:「魯工苦,請釋之。」晏子曰:「不可。嬰聞之,苦身為善者其賞厚,苦身為非者其罪重。」公不對。晏子出,令吏拘魯工,令人送之境,使不得入。公撤履,不復服也。

新字:景公為履,黄金之綦,飾以銀,連以珠,良玉之絢,其長尺,冰月服之以聴朝。晏子朝,公迎之,履重,僅能舉足。問曰:「天寒乎?」晏子曰:「君奚問天之寒也?古聖人制衣服也,冬軽而暖,夏軽而凊。今金玉之履,冰月服之,是重寒也。履重不節,是過任也,失生之情矣。故魯工不知寒温之節、軽重之量,以害正生,其罪一也;作服不常,以笑諸侯,其罪二也;用財無功,以怨百姓,其罪三也,請拘而使吏度之。」公曰:「魯工苦,請釈之。」晏子曰:「不可。嬰聞之,苦身為善者其賞厚,苦身為非者其罪重。」公不対。晏子出,令吏拘魯工,令人送之境,使不得入。公撤履,不復服也。

書き下し

景公履を為り、黄金の綦、飾るに銀を以てし、連ぬるに珠を以てし、良玉の絢、其の長さ尺、氷月之を服して以て朝を聴く。晏子朝し、公之を迎うるに、履重くして、僅かに足を挙ぐるのみ。問いて曰く、「天寒きか」と。晏子曰く、「君奚ぞ天の寒きを問うや。古の聖人衣服を制するや、冬は軽くして暖かく、夏は軽くして凊し。今金玉の履、氷月に之を服す、是れ重ねて寒きなり。履重くして節あらざるは、是れ過任なり、生の情を失えり。故に魯の工は寒温の節、軽重の量を知らず、以て正生を害す、其の罪の一なり。服を作ること常ならず、以て諸侯に笑わる、其の罪の二なり。財を用いて功無く、以て百姓を怨ましむ、其の罪の三なり。請う拘えて吏をして之を度らしめん」と。公曰く、「魯の工苦しめり、請う之を釈せ」と。晏子曰く、「不可なり。嬰之を聞く、身を苦しめて善を為す者は其の賞厚く、身を苦しめて非を為す者は其の罪重しと」と。公対えず。晏子出で、吏をして魯の工を拘えしめ、人をして之を境に送らしめ、入るを得ざらしむ。公履を撤し、復た服せざるなり。

現代語訳

景公は履を作らせました。黄金の飾り紐に銀をあしらい、珠をつなぎ、良い玉の飾りをつけ、長さは一尺ほどあり、氷の張る月にそれを履いて朝廷で政務を聴きました。晏子が参内すると、公は迎えましたが、履が重くて足をわずかしか上げられません。公が「寒いか」と尋ねると、晏子は言いました。「殿はなぜ寒さをお尋ねになるのですか。昔の聖人が衣服を定めたときは、冬は軽くて暖かく、夏は軽くて涼しくしました。今、金玉の履を氷の月に履けば、冷たさが重なります。履が重くて節度がないのは、身体に過ぎた負担で、生きる実情を損なっています。魯の職人は寒暖の程度や軽重の量を知らず、身体を害した、これが第一の罪です。服を常でない形に作って諸侯に笑われた、これが第二の罪です。財を使って功がなく、民に恨みを抱かせた、これが第三の罪です。どうか捕らえて役人に調べさせてください。」公は「魯の職人は苦労した。許してやってくれ」と言いましたが、晏子は「いけません。私は、身を苦しめて善を行う者には厚く賞し、身を苦しめて非を行う者には罪を重くすると聞いています」と言いました。公は答えませんでした。晏子は退出し、役人に魯の職人を捕らえさせ、境まで送らせて国に入れないようにしました。公は履を取りやめ、二度と履きませんでした。

解説

贅沢な履で足が上がらない景公に、晏子は「寒いか」という問いを逆手にとって諫めました。衣服は身体に軽く便利であるべきだという聖人の基準を示し、職人の罪を三つに数えます。注目したいのは、晏子が責めを君ではなく職人に向けた点です。君主を直接責めれば角が立つため、作った側の責任として処理しつつ、景公に履をやめる口実を与えています。現代でも、トップの無理な要望に応えた部下だけを処分しても、本質は改善しません。ただ、ここでは相手の面子を保ちながら事態を収める、諫言の技術として読むことができます。

この章句が説くこと

諫言節倹面子実用贅沢晏子春秋

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