維摩経 / 方便品第二(1)
爾時毘耶離大城中有長者名維摩詰。已曾供養無量諸佛深植善本。得無生忍。辯才無礙。遊戲神通逮諸總持。獲無所畏降魔勞怨。入深法門善於智度。通達方便大願成就。明了眾生心之所趣。又能分別諸根利鈍。久於佛道,心已純淑,決定大乘。諸有所作能善思量。住佛威儀心大如海。諸佛咨嗟弟子。釋梵世主所敬。欲度人故,以善方便,居毘耶離。資財無量攝諸貧民。奉戒清淨攝諸毀禁。以忍調行攝諸恚怒。以大精進攝諸懈怠。一心禪寂攝諸亂意。以決定慧攝諸無智。雖為白衣奉持沙門清淨律行。雖處居家不著三界。示有妻子常修梵行。現有眷屬常樂遠離。雖服寶飾而以相好嚴身。雖復飲食而以禪悅為味。
新字:爾時毘耶離大城中有長者名維摩詰。已曽供養無量諸仏深植善本。得無生忍。弁才無礙。遊戯神通逮諸総持。獲無所畏降魔労怨。入深法門善於智度。通達方便大願成就。明了衆生心之所趣。又能分別諸根利鈍。久於仏道,心已純淑,決定大乗。諸有所作能善思量。住仏威儀心大如海。諸仏咨嗟弟子。釈梵世主所敬。欲度人故,以善方便,居毘耶離。資財無量摂諸貧民。奉戒清浄摂諸毀禁。以忍調行摂諸恚怒。以大精進摂諸懈怠。一心禅寂摂諸乱意。以決定慧摂諸無智。雖為白衣奉持沙門清浄律行。雖処居家不著三界。示有妻子常修梵行。現有眷属常楽遠離。雖服宝飾而以相好厳身。雖復飲食而以禅悦為味。
書き下し
爾の時、毘耶離大城の中に長者有り、維摩詰と名づく。已に曾て無量の諸仏を供養し、深く善本を植え、無生忍を得、辯才無礙にして、神通に遊戯し、諸の総持に逮び、無所畏を獲、魔の労怨を降し、深法門に入りて智度に善く、方便に通達して大願成就せり。衆生の心の趣く所を明了し、又た能く諸根の利鈍を分別す。久しく仏道に於て、心已に純淑にして、大乗に決定せり。諸の所作有る、能く善く思量す。仏の威儀に住し、心の大なること海の如し。諸仏は咨嗟し、弟子・釈梵・世主の敬う所なり。人を度せんと欲するが故に、善き方便を以て、毘耶離に居す。資財無量にして諸の貧民を摂し、戒を奉ずること清浄にして諸の毀禁を摂し、忍を以て行を調えて諸の恚怒を摂し、大精進を以て諸の懈怠を摂し、一心に禅寂にして諸の乱意を摂し、決定の慧を以て諸の無智を摂す。白衣たりと雖も沙門の清浄の律行を奉持し、居家に処すと雖も三界に著せず。妻子有るを示して常に梵行を修め、眷属有るを現じて常に遠離を楽う。宝飾を服すと雖も相好を以て身を厳り、復た飲食すと雖も禅悦を以て味と為す。
現代語訳
そのとき、毘耶離の大きな城の中に、維摩詰という長者がいました。すでに無量の諸仏を供養し、深く善の根を植え、無生忍を得ていました。弁才に妨げがなく、神通に自在に遊び、数々の総持に達し、畏れなき境地を得て、魔の苦しめと怨みを降していました。深い法門に入って智慧の完成に巧みで、方便に通達し、大いなる願いを成就していました。衆生の心の向かうところを明らかに知り、また、素質の鋭さと鈍さを見分けることができます。長く仏道を歩んで、心はすでに純粋に練られ、大乗の道に定まっていました。行うことはすべて、よく思慮されています。仏の振る舞いに身を置き、心の大きさは海のようでした。諸仏が讃え、弟子たちや帝釈天、梵天、世界の主たちが敬う人です。人々を救おうとするために、巧みな方便によって毘耶離に住んでいました。無量の財産によって貧しい人々を受け入れ、清らかに戒を守ることで戒を破る人々を受け入れ、忍耐で行いを調えることで怒る人々を受け入れ、大いなる精進によって怠ける人々を受け入れ、一心の禅の静けさで心の乱れた人々を受け入れ、確かな智慧によって智慧のない人々を受け入れていました。在家の白衣でありながら、出家者の清らかな戒律を奉じて保ち、家にあっても、三界に執着しませんでした。妻子がいることを示しながら、常に清らかな行いを修め、親族がいることを現しながら、常に俗を離れることを楽しみとしていました。宝飾をまといながら、相好によって身を飾り、飲食をしながら、禅の喜びを味としていました。
解説

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