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養生訓 / 巻第八・灸治

一癰疽、及、諸瘡腫物の初發に、早く灸すれば、腫れあがらずして消散す。うむといへども、毒かろくして早く癒えやすし。項より上に發したるには、直に灸すべからず。三里氣海に灸すべし。凡腫物出でて後七日を過ぎば、灸すべからず。此灸法、三因方以下諸方書に出でたり。醫に問ひて灸すべし。一事林廣記に、午後に灸すべしと云へり。

新字:一癰疽、及、諸瘡腫物の初発に、早く灸すれば、腫れあがらずして消散す。うむといへども、毒かろくして早く癒えやすし。項より上に発したるには、直に灸すべからず。三里気海に灸すべし。凡腫物出でて後七日を過ぎば、灸すべからず。此灸法、三因方以下諸方書に出でたり。医に問ひて灸すべし。一事林広記に、午後に灸すべしと云へり。

書き下し

一癰疽、及、諸瘡腫物の初発に、早く灸すれば、腫れあがらずして消散す。うむといへども、毒かろくして早く癒えやすし。項より上に発したるには、直に灸すべからず。三里気海に灸すべし。凡腫物出でて後七日を過ぎば、灸すべからず。此灸法、三因方以下諸方書に出でたり。医に問ひて灸すべし。一事林広記に、午後に灸すべしと云へり。

現代語訳

癰疽や、いろいろな瘡や腫れ物のできはじめに、早く灸をすれば、腫れ上がらずに消えて散ります。膿んだとしても、毒が軽くて早く治りやすいのです。うなじより上にできたものには、直接灸をしてはいけません。三里や気海に灸をすべきです。およそ腫れ物ができて七日を過ぎたら、灸をしてはいけません。この灸法は『三因方』以下の多くの医書に出ています。医者に尋ねて灸をすべきです。『事林広記』に、午後に灸をすべきだとあります。

解説

腫れ物のできはじめに灸をすれば散らせるという灸法と、その注意を述べた単位で、『養生訓』本文の最後の条にあたります。頭部の腫れ物には直接すえず三里や気海にすえること、七日を過ぎたら灸をしないことなど、時期と場所の注意が示され、医者に尋ねて行えと念を押しています。多くの医書に見える方法でも自己判断で行わず専門家に相談せよという結びは、医療の知識を広めながらも素人判断の危うさを戒めてきた益軒の姿勢を、よく締めくくっています。

この章句が説くこと

灸腫れ物時機医者相談

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