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養生訓 / 後記

右にしるせし所は、古人の言をやはらげ、古人の意をうけて、おしひろめしなり。又先輩に聞ける所多し。みづから試みしるしある事は、臆說といへどもしるし侍りぬ。是養生の大意なり。其條目の詳なる事は說きつくしがたし。保養の道に志あらん人は、多く古人の書を讀んで知るべし。大意通じても、條目の詳なる事を知らざれば、其道を盡しがたし。愚生昔わかくして書を讀みし時、群書の内養生の術を說ける古語をあつめて門客にさづけ、其門類をわかたしむ。名づけて頤生輯要と云ふ。養生に志あらん人は考へ見給ふべし。こゝにしるせしは、其要をとれるなり。

新字:右にしるせし所は、古人の言をやはらげ、古人の意をうけて、おしひろめしなり。又先輩に聞ける所多し。みづから試みしるしある事は、臆説といへどもしるし侍りぬ。是養生の大意なり。其条目の詳なる事は説きつくしがたし。保養の道に志あらん人は、多く古人の書を読んで知るべし。大意通じても、条目の詳なる事を知らざれば、其道を尽しがたし。愚生昔わかくして書を読みし時、群書の内養生の術を説ける古語をあつめて門客にさづけ、其門類をわかたしむ。名づけて頤生輯要と云ふ。養生に志あらん人は考へ見給ふべし。こゝにしるせしは、其要をとれるなり。

書き下し

右にしるせし所は、古人の言をやはらげ、古人の意をうけて、おしひろめしなり。又先輩に聞ける所多し。みづから試みしるしある事は、臆説といへどもしるし侍りぬ。是養生の大意なり。其条目の詳なる事は説きつくしがたし。保養の道に志あらん人は、多く古人の書を読んで知るべし。大意通じても、条目の詳なる事を知らざれば、其道を尽しがたし。愚生昔わかくして書を読みし時、群書の内養生の術を説ける古語をあつめて門客にさづけ、其門類をわかたしむ。名づけて頤生輯要と云ふ。養生に志あらん人は考へ見給ふべし。ここにしるせしは、其要をとれるなり。

現代語訳

右に記したことは、古人の言葉をやわらげ、古人の考えを受けて押し広めたものです。また先輩から聞いたことも多くあります。自分で試して効き目のあったことは、自分の推測であっても記しました。これが養生の大意です。その細かな条目は説きつくすことができません。保養の道に志のある人は、多く古人の書を読んで知るべきです。大意が通じても、細かな条目を知らなければ、その道を尽くすことはできません。私は昔、若くして書物を読んだとき、多くの書物の中から養生の術を説いた古語を集めて門人に授け、その部類を分けさせました。名づけて『頤生輯要』といいます。養生に志のある人は考えてご覧ください。ここに記したのは、その要点を取ったものです。

解説

『養生訓』全八巻を締めくくる後記です。ここに記したことは古人の言葉をわかりやすく言い直し、その意を広げたものであり、先輩から聞いたことや、自ら試して効き目のあったことも臆説ながら加えたと、書の成り立ちを率直に述べています。そして養生に志す人は古人の書を多く読めと勧め、若い頃に編んだ『頤生輯要』を紹介しています。古典に学び、人に聞き、自ら試すという三つを重ねて書かれた本書の姿勢は、学びと実践の手本として今も生きています。

この章句が説くこと

養生学問古典実証後記

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