導師導古典を学びたいすべての人に

養生訓 / 巻第八・灸治

一灸して後灸瘡發せざれば其病癒えがたし。自然にまかせ其まゝにては、人により灸瘡發せず。しかる時は、人事をもつくすべし。虛弱の人は瘡發しがたし。古人、灸瘡を發する法多し。赤皮の葱を三五莖靑き所を去りて、糠のあつき灰中にて蒸し、わりて灸のあとをしばしば熨すべし。又生麻油をしきりにつけて發するもあり。又、灸のあとに一二壯灸して發するあり。又、燒鳥燒魚、熱物を食して發する事あり。今試みるに、熱湯を以て、しきりに灸の痕をあたゝむるもよし。

新字:一灸して後灸瘡発せざれば其病癒えがたし。自然にまかせ其まゝにては、人により灸瘡発せず。しかる時は、人事をもつくすべし。虚弱の人は瘡発しがたし。古人、灸瘡を発する法多し。赤皮の葱を三五茎青き所を去りて、糠のあつき灰中にて蒸し、わりて灸のあとをしばしば熨すべし。又生麻油をしきりにつけて発するもあり。又、灸のあとに一二壮灸して発するあり。又、焼鳥焼魚、熱物を食して発する事あり。今試みるに、熱湯を以て、しきりに灸の痕をあたゝむるもよし。

書き下し

一灸して後灸瘡発せざれば其病癒えがたし。自然にまかせ其ままにては、人により灸瘡発せず。しかる時は、人事をもつくすべし。虚弱の人は瘡発しがたし。古人、灸瘡を発する法多し。赤皮の葱を三五茎青き所を去りて、糠のあつき灰中にて蒸し、わりて灸のあとをしばしば熨すべし。又生麻油をしきりにつけて発するもあり。又、灸のあとに一二壮灸して発するあり。又、焼鳥焼魚、熱物を食して発する事あり。今試みるに、熱湯を以て、しきりに灸の痕をあたたむるもよし。

現代語訳

灸をした後に灸のあとがただれなければ、その病は治りにくいとされます。自然にまかせてそのままにしておくと、人によっては灸のあとがただれません。そのようなときは、人の手も尽くすべきです。虚弱な人は灸のあとがただれにくいものです。古人には灸瘡を発させる方法が多くあります。赤皮の葱を三本から五本、青い所を除いて、ぬかの熱い灰の中で蒸し、割って灸のあとをしばしば温めるべきです。また生の胡麻油をしきりにつけて発させることもあります。また灸のあとに一、二壮灸をして発させることもあります。また焼き鳥や焼き魚など熱い物を食べて発させることもあります。今試してみると、熱い湯でしきりに灸のあとを温めるのもよいものです。

解説

灸のあとがただれる「灸瘡」を発させる方法を述べた単位です。当時は灸のあとがただれないと病が治りにくいと考えられており、葱を蒸して温める、胡麻油をつける、熱い物を食べるなどの古人の方法を紹介したうえで、自分で試して熱湯で温めるのもよいと付け加えています。古人の説を伝えるだけでなく、自ら試した結果を添えるところに実証を重んじる益軒の姿勢が見えます。今の灸では跡を化膿させることは求められず、手当ては専門家の指示によるべきです。

この章句が説くこと

灸灸瘡実証伝承治療

関連する章句

古典の入門書『人生の教科書』の表紙

人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。

古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。

本の中身を見る
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)+師導1か月=700円 本を見る