導師導古典を学びたいすべての人に

養生訓 / 巻第八・養老

一年老いては、やうやく事をはぶきてすくなくすべし。事をこのみて、おほくすべからず。このむ事しげければ事多し。事多ければ心氣つかれて、樂をうしなふ。一朱子六十八歲、其子に與ふる書に、衰病の人、多くは飮食過度によりて病くはゝる。殊に、肉多く食するは害あり。朝夕、肉は只一種少し食すべし、多く食ふべからず。あつものに肉あらば、飣には無きがよし。晩食には肉なきが尤よし。肉の數多く重ぬるは、滯りて害あり。肉をすくなくするは、一には胃を寛くして氣を養ひ、一には用を節にして財を養ふ、といへり。朱子の此言養生に切なり。若き人も如此すべし。

新字:一年老いては、やうやく事をはぶきてすくなくすべし。事をこのみて、おほくすべからず。このむ事しげければ事多し。事多ければ心気つかれて、楽をうしなふ。一朱子六十八歳、其子に与ふる書に、衰病の人、多くは飲食過度によりて病くはゝる。殊に、肉多く食するは害あり。朝夕、肉は只一種少し食すべし、多く食ふべからず。あつものに肉あらば、飣には無きがよし。晩食には肉なきが尤よし。肉の数多く重ぬるは、滞りて害あり。肉をすくなくするは、一には胃を寛くして気を養ひ、一には用を節にして財を養ふ、といへり。朱子の此言養生に切なり。若き人も如此すべし。

書き下し

一年老いては、やうやく事をはぶきてすくなくすべし。事をこのみて、おほくすべからず。このむ事しげければ事多し。事多ければ心気つかれて、楽をうしなふ。一朱子六十八歳、其子に与ふる書に、衰病の人、多くは飲食過度によりて病くははる。殊に、肉多く食するは害あり。朝夕、肉は只一種少し食すべし、多く食ふべからず。あつものに肉あらば、飣には無きがよし。晩食には肉なきが尤よし。肉の数多く重ぬるは、滞りて害あり。肉をすくなくするは、一には胃を寛くして気を養ひ、一には用を節にして財を養ふ、といへり。朱子の此言養生に切なり。若き人も如此すべし。

現代語訳

年老いては、しだいに用事を省いて少なくすべきです。事を好んで多くしてはいけません。好むことが多ければ用事が多くなります。用事が多ければ心と気が疲れて、楽しみを失います。朱子が六十八歳で、その子に与えた手紙に、「衰えて病のある人は、多くは飲食の過度によって病が重くなる。とくに肉を多く食べるのは害がある。朝夕、肉はただ一種を少し食べるべきで、多く食べてはならない。汁物に肉があれば、おかずには肉がないのがよい。夕食には肉がないのがもっともよい。肉料理を多く重ねるのは、とどこおって害がある。肉を少なくするのは、一つには胃をゆったりさせて気を養い、一つには費用を節約して財を養うことである」とあります。朱子のこの言葉は養生に切実です。若い人もこのようにすべきです。

解説

老いて用事を減らすことと、朱子の手紙に見える食事の節制を述べた単位です。事を好んで増やすと心身が疲れて楽しみを失うという言葉は、老いの暮らしの簡素化を勧めるものです。朱熹が晩年に子に宛てた手紙では、肉は一品を少しにとどめ、胃を寛くして気を養い、出費を節して財を養えと説いており、巻第四の蘇東坡の三養とも響き合います。朱子学者である益軒が朱子の言葉を「養生に切なり」と称え、若い人にも勧めている点に、一貫した節制の思想が見えます。

この章句が説くこと

朱子節制肉簡素養生

関連する章句

古典の入門書『人生の教科書』の表紙

人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。

古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。

本の中身を見る
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)+師導1か月=700円 本を見る