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養生訓 / 巻第八・養老

一老人の保養は、常に元氣を惜みてへらすべからず。氣息を靜にして、あらくすべからず。言語をゆるやかにして早くせず、言すくなくし、起居行步をもしづかにすべし。言語あらゝかに、口はやく聲高く、颺言すべからず。怒なくうれひなく、過ぎ去りたる人の過をとかむべからず、我が過をしきりに悔ゆべからず、人の無禮なる横逆をいかりうらむべからず。是皆、老人養生の道なり。又老人の德行のつゝしみなり。

新字:一老人の保養は、常に元気を惜みてへらすべからず。気息を静にして、あらくすべからず。言語をゆるやかにして早くせず、言すくなくし、起居行歩をもしづかにすべし。言語あらゝかに、口はやく声高く、颺言すべからず。怒なくうれひなく、過ぎ去りたる人の過をとかむべからず、我が過をしきりに悔ゆべからず、人の無礼なる横逆をいかりうらむべからず。是皆、老人養生の道なり。又老人の徳行のつゝしみなり。

書き下し

一老人の保養は、常に元気を惜みてへらすべからず。気息を静にして、あらくすべからず。言語をゆるやかにして早くせず、言すくなくし、起居行歩をもしづかにすべし。言語あららかに、口はやく声高く、颺言すべからず。怒なくうれひなく、過ぎ去りたる人の過をとかむべからず、我が過をしきりに悔ゆべからず、人の無礼なる横逆をいかりうらむべからず。是皆、老人養生の道なり。又老人の徳行のつつしみなり。

現代語訳

老人の保養は、いつも元気を惜しんで減らしてはいけません。呼吸を静かにして荒くしてはいけません。言葉をゆるやかにして早口にせず、言葉少なくし、起き臥しや歩くことも静かにすべきです。言葉を荒々しくし、早口で声高に、大声で言い立ててはいけません。怒りなく憂いなく、過ぎ去った人の過ちをとがめてはならず、自分の過ちをしきりに悔やんではならず、人の無礼な仕打ちを怒り恨んではいけません。これはみな老人の養生の道です。また老人の徳行の慎みでもあります。

解説

老人の保養の要を、元気を惜しむことにまとめた条です。呼吸を静かに、言葉をゆるやかに少なく、動作を静かにし、過去の人の過ちも自分の過ちもくよくよせず、無礼を怒り恨まないという心得が並んでいます。それが養生の道であると同時に徳行の慎みでもあるという結びは、心身の健康と人格の成熟が一つであるという益軒の考えをよく表しています。穏やかな話し方やふるまいが周りの人を和ませ、自分の心身も守るという知恵は、年齢を問わず役立ちます。

この章句が説くこと

老人元気穏やか徳養生

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