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養生訓 / 巻第七・用薬

一大便、瀉しやすきは大にあしく、少し祕するはよし。老人の祕結するは壽のしるしなり、尤よし。然れども、甚祕結するはあしし。凡そ人の脾胃つかへ食滯り、或は腹痛し不食し、氣塞る病する人、世に多し。是多くは大便通じがたくして滯る故しかり。つかふるは大便つかふるなり。大便滯らざるやうに治すべし。麻仁、杏仁、胡麻など、つねに食すれば、腸胃うるほひて便結せず。

新字:一大便、瀉しやすきは大にあしく、少し秘するはよし。老人の秘結するは寿のしるしなり、尤よし。然れども、甚秘結するはあしし。凡そ人の脾胃つかへ食滞り、或は腹痛し不食し、気塞る病する人、世に多し。是多くは大便通じがたくして滞る故しかり。つかふるは大便つかふるなり。大便滞らざるやうに治すべし。麻仁、杏仁、胡麻など、つねに食すれば、腸胃うるほひて便結せず。

書き下し

一大便、瀉しやすきは大にあしく、少し秘するはよし。老人の秘結するは寿のしるしなり、尤よし。然れども、甚秘結するはあしし。凡そ人の脾胃つかへ食滞り、或は腹痛し不食し、気塞る病する人、世に多し。是多くは大便通じがたくして滞る故しかり。つかふるは大便つかふるなり。大便滞らざるやうに治すべし。麻仁、杏仁、胡麻など、つねに食すれば、腸胃うるほひて便結せず。

現代語訳

大便は、下りやすいのはたいへん悪く、少し出にくいのはよいのです。老人の便秘は長寿のしるしで、もっともよいものです。けれども、ひどく便秘するのは悪いのです。およそ人の脾胃がつかえて食べ物がとどこおり、あるいは腹が痛んで食べられず、気がふさがる病の人は世に多いのです。これは多くは大便が通じにくくてとどこおるためです。つかえるのは大便がつかえるのです。大便がとどこおらないように治すべきです。麻の実、杏仁、胡麻などを常に食べれば、胃腸がうるおって便が固まりません。

解説

便通についての益軒の見方を述べた条です。下痢しやすいのは悪く、少し便秘気味なのはよい、老人の便秘は長寿のしるしだとしつつ、ひどい便秘は胃腸のつかえや腹痛のもとになるので、麻の実や胡麻などで腸をうるおせと勧めています。「少し」と「甚だしく」を分けて考えるところに、何事も程度で判断する益軒の考えが表れています。便通が胃腸全体の調子を映すという見方は、今の腸の健康を重んじる考え方とも重なる、日々の体調管理の基本です。

この章句が説くこと

便通便秘脾胃食事長寿

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