養生訓 / 巻第七・用薬
一惡臭を去るに、蒼朮を焚くべし。胡荽の實をたけば、邪氣をはらふ。又痘瘡のけかれを去る。蘿藦の葉を干してたけば、糞小便の惡氣をはらふ。手のけがれたるにも、蘿藦の生葉を揉みて塗るべし。腥き臭、あしき物を食したるに、胡荽をくらへば惡臭さる。蘿藦のわか葉を煮て食すれば、味よく性よし。
新字:一悪臭を去るに、蒼朮を焚くべし。胡荽の実をたけば、邪気をはらふ。又痘瘡のけかれを去る。蘿藦の葉を干してたけば、糞小便の悪気をはらふ。手のけがれたるにも、蘿藦の生葉を揉みて塗るべし。腥き臭、あしき物を食したるに、胡荽をくらへば悪臭さる。蘿藦のわか葉を煮て食すれば、味よく性よし。
書き下し
一悪臭を去るに、蒼朮を焚くべし。胡荽の実をたけば、邪気をはらふ。又痘瘡のけかれを去る。蘿藦の葉を干してたけば、糞小便の悪気をはらふ。手のけがれたるにも、蘿藦の生葉を揉みて塗るべし。腥き臭、あしき物を食したるに、胡荽をくらへば悪臭さる。蘿藦のわか葉を煮て食すれば、味よく性よし。
現代語訳
悪臭を去るには、蒼朮を焚くのがよいでしょう。胡荽(コエンドロ)の実を焚けば邪気を払います。また疱瘡のけがれを去ります。蘿藦(ががいも)の葉を干して焚けば、大小便の悪臭を払います。手が汚れたときにも、蘿藦の生の葉をもんで塗るのがよいでしょう。生臭い臭いや悪い物を食べたときに、胡荽を食べれば悪臭が去ります。蘿藦の若葉を煮て食べれば、味もよく性質もよいものです。
解説
身近な植物を使って悪臭を消す方法を紹介した条です。蒼朮を焚く、胡荽の実を焚く、蘿藦の葉を干して焚いたり生の葉を手に塗ったりするなど、本草学者らしい具体的な知識が並んでいます。胡荽を食べれば口の生臭さが消え、蘿藦の若葉は煮て食べてもおいしいと、食と衛生を結びつけているのも益軒らしいところです。身近な植物の働きを知って暮らしに生かすという姿勢は、今のハーブや香草の活用にも通じる、生活の知恵といえます。
この章句が説くこと
本草香草衛生植物暮らし
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