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養生訓 / 巻第六・択医

一藥の病に應ずるに、適中あり、偶中あり。適中は良醫の藥必ず應ずるなり。偶中は、庸醫の藥不慮に相應ずるなり。是其人に幸ある故に、術はつたなけれども、幸にして病に應じたるなり。もとより庸醫なれば、相應ぜざる事多し。良醫の適中の藥を用ふべし。庸醫はたのもしげなし。偶中の藥はあやふし。適中は能く射る者の的にあたるが如し。偶中は拙き者の不慮に的に射あつるが如し。

新字:一薬の病に応ずるに、適中あり、偶中あり。適中は良医の薬必ず応ずるなり。偶中は、庸医の薬不慮に相応ずるなり。是其人に幸ある故に、術はつたなけれども、幸にして病に応じたるなり。もとより庸医なれば、相応ぜざる事多し。良医の適中の薬を用ふべし。庸医はたのもしげなし。偶中の薬はあやふし。適中は能く射る者の的にあたるが如し。偶中は拙き者の不慮に的に射あつるが如し。

書き下し

一薬の病に応ずるに、適中あり、偶中あり。適中は良医の薬必ず応ずるなり。偶中は、庸医の薬不慮に相応ずるなり。是其人に幸ある故に、術はつたなけれども、幸にして病に応じたるなり。もとより庸医なれば、相応ぜざる事多し。良医の適中の薬を用ふべし。庸医はたのもしげなし。偶中の薬はあやふし。適中は能く射る者の的にあたるが如し。偶中は拙き者の不慮に的に射あつるが如し。

現代語訳

薬が病に応じるのには、適中と偶中があります。適中は、良医の薬が必ず応じることです。偶中は、つまらない医者の薬が思いがけず応じることです。これはその人に幸いがあったので、術は拙いけれども、幸いにして病に応じたのです。もともとつまらない医者なので、応じないことが多いのです。良医の適中の薬を用いるべきです。つまらない医者は頼りになりません。偶中の薬は危ういものです。適中はよく射る者が的に当てるようなものです。偶中は下手な者が思いがけず的に射当てるようなものです。

解説

治療の効き目を「適中」と「偶中」に分けて論じた条です。良医の薬は理にかなって必ず効くが、未熟な医者の薬がたまたま効いたのは運にすぎず、次も効くとは限らないと述べています。弓の名手が的に当てるのと下手な者がまぐれで当てるのとのたとえはわかりやすいものです。一度の成功で実力を判断してはならず、なぜうまくいったかを見極めよという教えは、医療に限らず、仕事の成果や人の評価を考えるうえで大切な視点を与えてくれます。

この章句が説くこと

医者実力偶然判断見識

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