導師導古典を学びたいすべての人に

養生訓 / 巻第六・慎病

一冬月は、急病にあらずんば針灸すべからず。尤十二月を忌む。又冬月按摩をいむ。自身しづかに導引するは害なし。あらくすべからず。一除日には、父祖の神前を掃除し、家内殊に臥室のちりをはらひ、夕は燈をともして明朝にいたり、家內光明ならしめ、香を所々にたき、かまどにて爆竹し、火を焚きて陽氣を助くべし。家族も爐をかこみ、和氣津々として人とあらそはず、家人をいかり罵るべからず。父母尊長を拜祝し、家内大小上下椒酒を飮んで、歡び樂み、終夜寢ねずして舊き歲をおくり、新しき年をむかへて朝にいたる。是を守歳と云ふ。

新字:一冬月は、急病にあらずんば針灸すべからず。尤十二月を忌む。又冬月按摩をいむ。自身しづかに導引するは害なし。あらくすべからず。一除日には、父祖の神前を掃除し、家内殊に臥室のちりをはらひ、夕は灯をともして明朝にいたり、家内光明ならしめ、香を所々にたき、かまどにて爆竹し、火を焚きて陽気を助くべし。家族も炉をかこみ、和気津々として人とあらそはず、家人をいかり罵るべからず。父母尊長を拝祝し、家内大小上下椒酒を飲んで、歓び楽み、終夜寝ねずして旧き歳をおくり、新しき年をむかへて朝にいたる。是を守歳と云ふ。

書き下し

一冬月は、急病にあらずんば針灸すべからず。尤十二月を忌む。又冬月按摩をいむ。自身しづかに導引するは害なし。あらくすべからず。一除日には、父祖の神前を掃除し、家内殊に臥室のちりをはらひ、夕は灯をともして明朝にいたり、家内光明ならしめ、香を所々にたき、かまどにて爆竹し、火を焚きて陽気を助くべし。家族も炉をかこみ、和気津々として人とあらそはず、家人をいかり罵るべからず。父母尊長を拝祝し、家内大小上下椒酒を飲んで、歓び楽み、終夜寝ねずして旧き歳をおくり、新しき年をむかへて朝にいたる。是を守歳と云ふ。

現代語訳

冬は、急病でなければ鍼灸をしてはいけません。とくに十二月を忌みます。また冬は按摩を忌みます。自分で静かに導引をするのは害がありません。荒々しくしてはいけません。大晦日には、父祖の霊前を掃除し、家の中、とくに寝室のちりを払い、夕方には灯をともして翌朝まで家の中を明るくし、香をところどころに焚き、かまどで爆竹を鳴らし、火を焚いて陽気を助けるべきです。家族も炉を囲み、和やかな気に満ちて人と争わず、家の者を怒りののしってはいけません。父母や目上の人を拝んで祝い、家中の大人も子どもも上の者も下の者も椒酒を飲んで喜び楽しみ、夜通し寝ずに古い年を送り、新しい年を迎えて朝に至ります。これを守歳といいます。

解説

冬の鍼灸・按摩の禁と、大晦日の過ごし方を述べた単位です。大晦日には家を清め、明かりをともし、香を焚き、火を焚いて陽気を助け、家族が炉を囲んで和やかに過ごし、夜通し起きて年を守る「守歳」の習わしを紹介しています。家人を怒り罵るなという一言には、心の和やかさも養生の一部だという益軒の考えがよく表れています。一年の終わりに家を整え、家族が穏やかに集う時間を大切にすることは、今の年越しにもそのまま通じる心得です。

この章句が説くこと

大晦日家族和気季節年中行事

関連する章句

古典の入門書『人生の教科書』の表紙

人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。

古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。

本の中身を見る
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)+師導1か月=700円 本を見る