養生訓 / 巻第六・慎病
一熱食して汗いでば、風に當るべからず。一凡人の身、高き處よりおち、木石におされなどして、損傷したる處に、灸をする事なかれ。灸をすれば、藥を服してもしるしなし。又兵器にやぶられて、血おほく出でたる者は、必ずのんどかわくもの也。水をあたふべからず。甚あしし。又粥をのましむべからず。粥をのめば、血わき出でて必ず死ぬ。是等の事、かねて知らずんばあるべからず。又金瘡、折傷、口開きたる瘡、風にあたるべからず、扇にてもあふぐべからず。痙症となり、或は破傷風となる。
新字:一熱食して汗いでば、風に当るべからず。一凡人の身、高き処よりおち、木石におされなどして、損傷したる処に、灸をする事なかれ。灸をすれば、薬を服してもしるしなし。又兵器にやぶられて、血おほく出でたる者は、必ずのんどかわくもの也。水をあたふべからず。甚あしし。又粥をのましむべからず。粥をのめば、血わき出でて必ず死ぬ。是等の事、かねて知らずんばあるべからず。又金瘡、折傷、口開きたる瘡、風にあたるべからず、扇にてもあふぐべからず。痙症となり、或は破傷風となる。
書き下し
一熱食して汗いでば、風に当るべからず。一凡人の身、高き処よりおち、木石におされなどして、損傷したる処に、灸をする事なかれ。灸をすれば、薬を服してもしるしなし。又兵器にやぶられて、血おほく出でたる者は、必ずのんどかわくもの也。水をあたふべからず。甚あしし。又粥をのましむべからず。粥をのめば、血わき出でて必ず死ぬ。是等の事、かねて知らずんばあるべからず。又金瘡、折傷、口開きたる瘡、風にあたるべからず、扇にてもあふぐべからず。痙症となり、或は破傷風となる。
現代語訳
熱い物を食べて汗が出たら、風に当たってはいけません。およそ人の体が高い所から落ちたり、木や石に押されたりして傷ついた所に、灸をしてはいけません。灸をすれば、薬を飲んでも効き目がありません。また刀などの武器で傷つけられて、血が多く出た者は、必ずのどが渇くものです。水を与えてはいけません。たいへん悪いことです。また粥を飲ませてはいけません。粥を飲むと、血がわき出て必ず死にます。これらのことは、前もって知っておかなければなりません。また刀傷や骨折、口の開いた傷は、風に当ててはならず、扇であおいでもいけません。痙攣の症となり、あるいは破傷風となります。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
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『養生訓』巻第六・慎病一雪中に跣にて行きて、甚寒えたるに、熱湯にて足を洗ふべからず、火に早くあたるべからず。大寒にあたりて、即ち熱物を食飲すべからず。一頓死の症多し。卒中風、中気、中悪、中毒、中暑、凍死、湯火、食傷、乾霍乱、破傷風、喉痹、痰厥、失血、打撲、小児の馬脾風等の症、皆卒死す。此外又五絶とて、五種の頓死あり。一には自ら縊る。二にはおしにうたる。三には水におぼる。四には夜魘はる。五には婦人難産、是皆暴死する症なり。常の時方書を考へ、又其治法を良医にたづねて知り置くべし。かねて用意なくして、俄に所置を失ふべからず。一神怪奇異なる事、たとひ目前に見るとも、必ず鬼神の所為とは云ひがたし。人に心病あり、眼病あり。此病あれば、実になき物、目に見ゆる事多し。信じてまよふべからず。
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『養生訓』巻第六・慎病一夏は発生の気いよいよさかんにして、汗もれ、人の肌膚大に開く故、外邪入りやすし。涼風に久しくあたるべからず、沐浴の後風に当るべからず。且夏は伏陰とて陰気かくれて腹中にある故、食物の消化する事おそし。多く飲食すべからず。温なる物を食ひて、脾胃をあたたむべし。冷水を飲むべからず。すべて生、冷の物を忌む。冷麺多く食ふべからず。虚人は尤泄瀉のうれひおそるべし。冷水に浴すべからず。暑甚しき時も、冷水を以て面目を洗へば眼を損ず、冷水にて手足洗ふべからず、睡中に扇にて人にあふがしむべからず、風にあたり臥すべからず、夜外に臥すべからず、夜外に久しく坐して、露気にあたるべからず、極暑の時も極めて涼しくすべからず、日に久しく曝せる熱物の上に坐すべからず。
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