養生訓 / 巻第六・慎病
一秋は夏の間肌開け、七八月は殘暑も猶烈しければ、腠理いまだとぢず。表氣いまだ堅からざるに、秋風すでにいたりぬれば、感じてやぶれやすし、愼んで風涼にあたり過すべからず。病ある人は、八月殘暑退きて後、所々に灸して、風邪をふせぎ、陽を助けて、痰咳のうれひをまぬかるべし。
新字:一秋は夏の間肌開け、七八月は残暑も猶烈しければ、腠理いまだとぢず。表気いまだ堅からざるに、秋風すでにいたりぬれば、感じてやぶれやすし、慎んで風涼にあたり過すべからず。病ある人は、八月残暑退きて後、所々に灸して、風邪をふせぎ、陽を助けて、痰咳のうれひをまぬかるべし。
書き下し
一秋は夏の間肌開け、七八月は残暑も猶烈しければ、腠理いまだとぢず。表気いまだ堅からざるに、秋風すでにいたりぬれば、感じてやぶれやすし、慎んで風涼にあたり過すべからず。病ある人は、八月残暑退きて後、所々に灸して、風邪をふせぎ、陽を助けて、痰咳のうれひをまぬかるべし。
現代語訳
秋は、夏の間に肌が開き、七月・八月は残暑もなお厳しいので、腠理(皮膚のきめ)がまだ閉じていません。体の表の気がまだ固まっていないのに、秋風がすでに来ているので、それに感じて体をこわしやすいのです。慎んで涼しい風に当たりすぎてはいけません。病のある人は、八月に残暑が退いた後、所々に灸をして、風邪を防ぎ、陽気を助けて、痰や咳の患いを免れるべきです。
解説
秋の養生を述べた条です。夏の間に開いた肌がまだ閉じきらないうちに秋風が吹くので、涼しさに気をゆるめて風に当たりすぎると体を損ねやすいと注意しています。季節の変わり目は体の守りが手薄になる時期だという見方は、夏の疲れが出て体調を崩しやすい今の秋にもよく当てはまります。病のある人には残暑が引いた後に灸で陽気を助けよと勧めています。朝晩の涼しさに合わせて一枚羽織るといった小さな備えが、季節の変わり目の養生になります。
この章句が説くこと
秋季節風腠理養生
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