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養生訓 / 巻第五・洗浴

一湯治の間、熱性の物を食ふべからず、大酒大食すべからず。時々步行し、身をうごかし、食氣をめぐらすべし。湯治の内、房事をおかす事大にいむ。湯よりあがりても、十餘日いむ。灸治も同じ。湯治の間、又湯治の後、十日ばかり補藥を飮むべし。其間性よき魚鳥の肉を少しづつ食して、藥力をたすけ、脾胃を養ふべし。生、冷、性あしき物、食すべからず。又大酒大食を忌む。湯治しても、後の保養なければ益なし。

新字:一湯治の間、熱性の物を食ふべからず、大酒大食すべからず。時々歩行し、身をうごかし、食気をめぐらすべし。湯治の内、房事をおかす事大にいむ。湯よりあがりても、十余日いむ。灸治も同じ。湯治の間、又湯治の後、十日ばかり補薬を飲むべし。其間性よき魚鳥の肉を少しづつ食して、薬力をたすけ、脾胃を養ふべし。生、冷、性あしき物、食すべからず。又大酒大食を忌む。湯治しても、後の保養なければ益なし。

書き下し

一湯治の間、熱性の物を食ふべからず、大酒大食すべからず。時々歩行し、身をうごかし、食気をめぐらすべし。湯治の内、房事をおかす事大にいむ。湯よりあがりても、十余日いむ。灸治も同じ。湯治の間、又湯治の後、十日ばかり補薬を飲むべし。其間性よき魚鳥の肉を少しづつ食して、薬力をたすけ、脾胃を養ふべし。生、冷、性あしき物、食すべからず。又大酒大食を忌む。湯治しても、後の保養なければ益なし。

現代語訳

湯治の間は、熱い性質の物を食べてはならず、大酒や大食をしてはいけません。ときどき歩いて体を動かし、食べた物の気をめぐらせるべきです。湯治の間に房事をすることは大いに忌みます。湯から上がっても十日余りは忌みます。灸治療も同じです。湯治の間や湯治の後は、十日ほど補薬を飲むのがよいでしょう。その間、性質のよい魚や鳥の肉を少しずつ食べて、薬の力を助け、脾胃を養うべきです。生もの・冷たい物・性質の悪い物を食べてはいけません。また大酒大食を忌みます。湯治をしても、その後の保養がなければ益はありません。

解説

湯治中と湯治後の過ごし方をまとめた条です。熱性の物や大酒大食を避け、適度に歩き、房事を慎み、湯から上がった後も十日ほどは補薬と良い食事で体を養えと説いています。最後の「湯治しても後の保養なければ益なし」という言葉は、この条の要点です。治療そのものより、その前後の生活の整え方が効き目を左右するという考えは、今の医療でいう治療後のケアやリハビリの大切さにも通じます。特別な療法より日々の養生こそが土台なのです。

この章句が説くこと

湯治保養食事節制養生

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