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養生訓 / 巻第五・洗浴

一身に小瘡ありて熱湯に浴し、浴後風にあたれば、肌をとぢ、熱內にこもりて、小瘡も肌の内に入りて、熱生じ、小便通ぜず、腫る。此症甚、危し。多くは死す。つゝしんで、熱湯に浴して後風にあたるべからず。俗に、熱湯にて小瘡を内にたてこむると云ふ。左にはあらず、熱湯に浴し、肌表開きたる故に、風に感じやすし。涼風にて熱を内にとづる故、小瘡も共に内に入るなり。

新字:一身に小瘡ありて熱湯に浴し、浴後風にあたれば、肌をとぢ、熱内にこもりて、小瘡も肌の内に入りて、熱生じ、小便通ぜず、腫る。此症甚、危し。多くは死す。つゝしんで、熱湯に浴して後風にあたるべからず。俗に、熱湯にて小瘡を内にたてこむると云ふ。左にはあらず、熱湯に浴し、肌表開きたる故に、風に感じやすし。涼風にて熱を内にとづる故、小瘡も共に内に入るなり。

書き下し

一身に小瘡ありて熱湯に浴し、浴後風にあたれば、肌をとぢ、熱内にこもりて、小瘡も肌の内に入りて、熱生じ、小便通ぜず、腫る。此症甚、危し。多くは死す。つつしんで、熱湯に浴して後風にあたるべからず。俗に、熱湯にて小瘡を内にたてこむると云ふ。左にはあらず、熱湯に浴し、肌表開きたる故に、風に感じやすし。涼風にて熱を内にとづる故、小瘡も共に内に入るなり。

現代語訳

体に小さなできものがある人が熱い湯に入り、湯上がりに風にあたると、肌が閉じて熱が内にこもり、できものも肌の内に入って熱が生じ、小便が出なくなり、むくみます。この症状はたいへん危険です。多くは死にます。慎んで、熱い湯に入った後に風にあたってはいけません。世間では、熱い湯でできものを内へ閉じこめるといいます。そうではありません。熱い湯に入って肌の表が開いたために、風に感じやすいのです。涼しい風で熱を内に閉じこめるので、できものもともに内に入るのです。

解説

皮膚病のある人が入浴後に風に当たる危険を説いた条です。世間では熱い湯ができものを内に押しこむと言われていたのに対し、益軒は、湯で開いた肌が涼風で閉じられ、熱が内にこもるのが原因だと理を立てて説明し直しています。通説をそのまま受け入れず、原因を考えて正しい注意につなげる姿勢がよく表れています。湯上がりに体を冷やさない、汗が引くまで風に当たらないという心がけは、湯冷めを防ぐ注意として今も大切なものです。

この章句が説くこと

入浴風皮膚湯冷め養生

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