養生訓 / 巻第五・五官
一牙杖にて牙根をふかくさすべからず。根うきて、うごきやすし。一寒月はおそく起き、暑月は早く起くべし。暑月も風にあたり臥すべからず。ねぶりの内に風にあたるべからず、ねぶりの内に、扇にてあふがしむべからず。
書き下し
一牙杖にて牙根をふかくさすべからず。根うきて、うごきやすし。一寒月はおそく起き、暑月は早く起くべし。暑月も風にあたり臥すべからず。ねぶりの内に風にあたるべからず、ねぶりの内に、扇にてあふがしむべからず。
現代語訳
楊枝で歯の根を深く刺してはいけません。歯の根が浮いて動きやすくなります。寒い時期は遅く起き、暑い時期は早く起きるべきです。暑い時期でも風にあたって寝てはいけません。眠っている間に風にあたってはいけませんし、眠っている間に扇で人にあおがせてもいけません。
解説
歯の手入れの注意と、季節に応じた起床、寝ている間の風の害を述べた短い単位です。楊枝で歯ぐきを傷つけると歯がぐらつくという指摘は、歯ぐきを大切にする今の歯科の考えにも通じます。冬は遅く夏は早く起きるというのは、日の長さに合わせて暮らすという中国古来の養生の教えです。暑い夜でも眠りながら風に当たり続けてはいけないという注意は、扇風機や冷房をつけたまま眠って体を冷やしすぎないよう心がけることに置きかえられます。
この章句が説くこと
歯季節睡眠風養生
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