養生訓 / 巻第四・慎色慾
一わかく盛なる人は、殊に男女の情慾かたく愼みて、過すくなかるべし。慾念をおこさずして、腎氣をうごかすべからず。房事を快くせんために、烏頭附子等の熱藥飮むべからず。一達生錄曰、男子年いまだ二十ならざる者、精氣いまだ足らずして慾火うごきやすし。たしかに交接を愼むべし。
新字:一わかく盛なる人は、殊に男女の情慾かたく慎みて、過すくなかるべし。慾念をおこさずして、腎気をうごかすべからず。房事を快くせんために、烏頭附子等の熱薬飲むべからず。一達生録曰、男子年いまだ二十ならざる者、精気いまだ足らずして慾火うごきやすし。たしかに交接を慎むべし。
書き下し
一わかく盛なる人は、殊に男女の情慾かたく慎みて、過すくなかるべし。慾念をおこさずして、腎気をうごかすべからず。房事を快くせんために、烏頭附子等の熱薬飲むべからず。一達生録に曰く、男子年いまだ二十ならざる者、精気いまだ足らずして慾火うごきやすし。たしかに交接を慎むべし。
現代語訳
若く盛んな人は、とくに男女の情欲をかたく慎んで、過ちを少なくすべきです。欲念をおこさずに、腎の気を動かしてはいけません。房事を快くしようとして、烏頭や附子などの熱い性質の薬を飲んではいけません。『達生録』に、「男子で年がまだ二十歳にならない者は、精気がまだ十分でなく、欲の火が動きやすい。しっかりと交わりを慎むべきである」とあります。
解説
若い人の情欲の慎みと、強壮のための薬の害を述べた条です。頭注によれば烏頭はとりかぶとの根で、その新しい根を附子といい、いずれも強い熱性と毒をもつ生薬です。快楽のために体に負担の大きい薬に頼ることを戒めているのは、今でいう安易な強壮剤への警告と読めます。また『達生録』を引いて、二十歳前は精気が満ちていないのに欲の火が動きやすいと、若年の心身の不均衡を指摘しています。若いうちに自分を律することが一生の健康の土台になります。
この章句が説くこと
色欲若者精気薬節制
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