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養生訓 / 巻第二・総論下

明の醫の作れる軒岐救生論、類經等の書に、丹溪を甚誹れり。其說頗る理あり。然れども、是亦一偏に僻して、丹溪が長ずる所をあはせて蔑にす。枉れるをためて直に過ぐと云ふべし。凡、古來術者の言往々偏僻多し。近世明季の醫殊に此病あり。擇んで取捨すべし。只李中梓が說は頗平正にちかし。

新字:明の医の作れる軒岐救生論、類経等の書に、丹渓を甚誹れり。其説頗る理あり。然れども、是亦一偏に僻して、丹渓が長ずる所をあはせて蔑にす。枉れるをためて直に過ぐと云ふべし。凡、古来術者の言往々偏僻多し。近世明季の医殊に此病あり。択んで取捨すべし。只李中梓が説は頗平正にちかし。

書き下し

明の医の作れる軒岐救生論、類経等の書に、丹渓を甚誹れり。其説頗る理あり。然れども、是亦一偏に僻して、丹渓が長ずる所をあはせて蔑にす。枉れるをためて直に過ぐと云ふべし。凡、古来術者の言往々偏僻多し。近世明季の医殊に此病あり。択んで取捨すべし。只李中梓が説は頗平正にちかし。

現代語訳

明の医者の作った『軒岐救生論』『類経』などの書に、丹渓をひどく非難しています。その説にはかなり理があります。けれども、これもまた一方に偏って、丹渓の優れたところまで合わせてないがしろにしています。曲がったものを矯めて真っすぐにし過ぎたというべきです。およそ古来の術者の言には、しばしば偏りが多いものです。近世の明末の医者にはとりわけこの病があります。選んで取捨しなさい。ただ李中梓の説は、かなり公平で正しいものに近いのです。

解説

丹渓を激しく批判した明の医書『軒岐救生論』や張介賓の『類経』についても、理はあるが丹渓の長所まで否定するのは「枉れるをためて直に過ぐ」、つまり行き過ぎだと戒めています。批判する側にも偏りがあると見抜き、明末の医者の論は選んで取捨せよと説く益軒は、一方の極から他方の極へ振れることを嫌いました。最後に李中梓の説を公平に近いと評して巻第二を閉じます。対立する意見のどちらにも偏らず吟味する姿勢は、今の議論でも大切です。

この章句が説くこと

偏り中庸医学李中梓取捨

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