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養生訓 / 巻第二・総論下

一心はつねに從容と靜かにせはしからず、和平なるべし。言語は殊に靜かにしてすくなくし、無用の事いふべからず。是尤氣を養ふ良法なり。一人の身は、氣を以て生の源、命の主とす。故に養生をよくする人は、常に元氣を惜みてへらさず、靜にしては元氣をたもち、動きては元氣をめぐらす。たもつとめぐらすと二の者そなはらざれば、氣を養ひがたし。動靜其時を失はず、是氣を養ふの道なり。一もし大風雨と雷甚しくば、天の威をおそれて、夜といへども必ず起き、衣服をあらためて坐すべし、臥すべからず。

新字:一心はつねに従容と静かにせはしからず、和平なるべし。言語は殊に静かにしてすくなくし、無用の事いふべからず。是尤気を養ふ良法なり。一人の身は、気を以て生の源、命の主とす。故に養生をよくする人は、常に元気を惜みてへらさず、静にしては元気をたもち、動きては元気をめぐらす。たもつとめぐらすと二の者そなはらざれば、気を養ひがたし。動静其時を失はず、是気を養ふの道なり。一もし大風雨と雷甚しくば、天の威をおそれて、夜といへども必ず起き、衣服をあらためて坐すべし、臥すべからず。

書き下し

一心はつねに従容と静かにせはしからず、和平なるべし。言語は殊に静かにしてすくなくし、無用の事いふべからず。是尤気を養ふ良法なり。一人の身は、気を以て生の源、命の主とす。故に養生をよくする人は、常に元気を惜みてへらさず、静にしては元気をたもち、動きては元気をめぐらす。たもつとめぐらすと二の者そなはらざれば、気を養ひがたし。動静其時を失はず、是気を養ふの道なり。一もし大風雨と雷甚しくば、天の威をおそれて、夜といへども必ず起き、衣服をあらためて坐すべし、臥すべからず。

現代語訳

心は常にゆったりと静かで、せわしくなく、和やかで平らかであるべきです。言葉はとりわけ静かに少なくし、無用のことを言ってはいけません。これは気を養う最もよい方法です。人の体は、気を生命の源、命の主とします。そのため養生をよくする人は、常に元気を惜しんで減らさず、静かにしているときは元気を保ち、動くときは元気をめぐらせます。保つこととめぐらせることの二つが備わらなければ、気を養うことはできません。動と静がその時を失わないこと、これが気を養う道です。もし大風雨や雷が激しければ、天の威を恐れて、夜であっても必ず起き、衣服を改めて座っていなさい。横になってはいけません。

解説

静かなときは元気を保ち、動くときは元気をめぐらせる、この二つがそろって初めて気が養われると説いています。心は従容として言葉は少なく、というのが静の心がけです。最後の、激しい雷雨の夜には起きて衣服を改めよという教えは、『論語』郷党篇の「迅雷風烈には必ず変ず」を踏まえたもので、天を畏れ敬う儒者の姿勢です。休むときと動くときのめりはりをつけ、自然への畏れを忘れないことは、今の暮らしにも通じる心構えです。

この章句が説くこと

気動静言葉元気畏れ

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