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養生訓 / 巻第二・総論下

一一時の浮氣を恣にすれば、一生の持病となり、或は卽時に命あやふき事あり。莫大の禍は、しばしの間こらへざるに起る。おそるべし。一養生の道は中を守るべし。中を守るとは過不及なきを云ふ。食物はうゑを助くるまでにてやむべし。過ぎて恣なるべからず。是中を守るなり。物ごとにかくの如くなるべし。

新字:一一時の浮気を恣にすれば、一生の持病となり、或は即時に命あやふき事あり。莫大の禍は、しばしの間こらへざるに起る。おそるべし。一養生の道は中を守るべし。中を守るとは過不及なきを云ふ。食物はうゑを助くるまでにてやむべし。過ぎて恣なるべからず。是中を守るなり。物ごとにかくの如くなるべし。

書き下し

一一時の浮気を恣にすれば、一生の持病となり、或は即時に命あやふき事あり。莫大の禍は、しばしの間こらへざるに起る。おそるべし。一養生の道は中を守るべし。中を守るとは過不及なきを云ふ。食物はうゑを助くるまでにてやむべし。過ぎて恣なるべからず。是中を守るなり。物ごとにかくの如くなるべし。

現代語訳

一時の浮ついた気をほしいままにすれば、一生の持病となり、あるいはすぐに命が危うくなることがあります。莫大な災いは、わずかの間こらえないことから起こります。恐れるべきです。養生の道は中を守るべきです。中を守るとは、過ぎることも及ばないこともないことをいいます。食べ物は飢えを助ける程度でやめなさい。過ごしてほしいままにしてはいけません。これが中を守ることです。何事もこのようであるべきです。

解説

一時の浮ついた気分に任せた行いが一生の持病を招くと戒め、続けて「中を守る」ことを説いています。中とは過不及のないことで、『中庸』に通じる儒学の根本の考えです。食事でいえば飢えをしのぐ程度でやめることが中だと、益軒は具体的に示します。極端な食事制限も暴飲暴食もどちらも中を外れています。何事もほどほどが一番という教えは平凡に聞こえますが、それを日々守り通すことこそ難しく、そして大切なのです。

この章句が説くこと

中庸節度浮気食事養生

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